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まち・文化

  • 2011年5月13日

    高靇神 — 龍に戴く冠

     田に水が入る頃、名前の解らない神様に出会った。東近江市池田町辺り、愛知川沿いの堤防にその神様はおられる。雨を冠に龍と書く漢字を読むことができない。「毎月1日と15日に、お花を供えています」という地元の夫人の話では、「水の神様と聞いています」ということだった。愛知川河岸の「高靇神」は、龍神様には違いはなかろ... 続きを読む

  • 2011年5月2日

    余呉の14年、三代目の梅の木

    畑野佐久郎さん  余呉湖畔の直売所「余呉町はごろも市」に立ち寄ったときのことだ。レジ前の小さな瓶に目がとまった。ラベルには「梅エキス」とある。チラシに梅エキスは青梅を煮詰め、濃縮したもので『効き目は梅干しの30倍』と記されていた。梅干しなら日本人にはお馴染みだ。  梅エキスを作っておられるのは、町内の畑野佐久... 続きを読む

  • 2011年4月29日

    江展望 2011
    三姉妹の祖母 阿古のふるさとを訪ねる

    理覚院本堂と観音堂  浅井長政の母は「阿古(あこ)」という。江ら三姉妹の祖母である。高時川の中流、長浜市高月町井口が阿古の故郷だ。  阿古の父である井口弾正経元(いのくちだんじょうつねもと)は、浅井家に仕える武将で、現在の富永小学校一帯に屋敷を構え、近くの真言宗豊山派の寺、理覚院は井口氏の菩提寺である。 「経... 続きを読む

  • 2011年4月25日

    波兎、北風に至る……

     『波兎の文様』コレクターである。古くから人気のある文様で家紋や陶磁器によく使われている。文様の名は別名『竹生島文様』とも呼ばれ、その名は謡曲『竹生島』に由来する。  緑樹影沈んで  魚木に登る気色あり  月海上に浮かんでは  兎も波を奔るか  面白の島の景色や  少なくとも僕は『竹生島』に由来するとそう考え... 続きを読む

  • 2011年4月15日

    江展望 2011
    三姉妹の兄弟・万菊丸を知る

    福田寺 浅井御殿  大河ドラマでは触れられていない、江の兄弟についての話がある。歴史の断片の数々が繋がる瞬間を期待しながら、大河ドラマから始まり深まってゆく興味を、湖北を歩きながら紡いでいる。春……、長澤御坊福田寺に至った。  『寛政重修諸家譜』の藤原氏浅井系図によると、浅井長政には万福丸と万寿丸(万菊丸とす... 続きを読む

  • 2011年3月30日

    50年前から、50年後へ……。
    元祖法然上人八百年大遠忌法要

    法然上人の木像を台座に載せ練り歩く  2011年3月13日。春の到来を思わせる暖かな日差しに守られながら、彦根市南三ツ谷町の常光寺では「元祖法然上人八百年大遠忌法要」が営まれていた。以前の記事「年貢を納める」以来のご縁だった。  浄土宗の開祖・法然上人の大遠忌法要は50年ごとに、総本山の知恩院、各地の浄土宗寺... 続きを読む

  • 2011年3月27日

    三成の気持ち
    夢京橋あかり館企画展示 MITSUNARI 11

     気になるイベントがある。「三成イレブン」……よく解らない。ホームページに、主催者の次のようなメッセージがあった。  「MITSUNARI 11」の展示イベントについては、開催を自粛すべきとの意見も多数ありましたが、検討を重ねたうえ、予定通り開催することにいたしました。  三成の気持ちは、「大一大万大吉」の旗印に象... 続きを読む

  • 2011年3月21日

    江展望 2011
    三姉妹の小谷城脱出ルートをたどる —こじき坂の伝承—

    谷間のこじき坂  浅井三姉妹が生まれ育った小谷城は織田信長軍の攻撃により落城し、浅井長政は城内で自刃、長政の妻市と三姉妹は城外へ逃れた。母子の行き先には諸説あり、信長の居城・岐阜城とも、信長の弟の居城があった伊勢だともいわれている。近江には、三姉妹は旧浅井町平塚の実宰院(当時は実宰庵)にかくまわれたという説が... 続きを読む

  • 2011年3月19日

    春を迎える責任
    木之本町黒田のオコナイ

    木之本町黒田のオコナイ  前号で紹介した木之本町田神山観音寺のオコナイがあった日、同町黒田でも、黒田神社のオコナイがあった。湖北ではオコナイが終わると本格的な春が訪れる……。  オコナイは基本的に、村内の豊作と安全を祈願する神事だ。御鏡をつくり神仏に供え、「直会(なおらい)」があり、次の年の当番にあたる「トウ... 続きを読む

  • 2011年3月15日

    「刻を繋ぐ」

     世間が春めいてくると胸の奥深くでチクチクと疼く小さな固まりがある。春にだけ反応する。その正体は明らかで、何かとの出会いであったり、別れであったりする。或いは、見てはいけない忘れられぬ美しい春の光景なのかもしれない。チクチクと痛む……。  そんな時に届いた「刻を繋ぐ」というちくちく。パッチワークキルト展である。小さな... 続きを読む

  • 2011年3月11日

    江展望 2011
    江誕生13年前、浅井長政、野良田表の戦いに勝利す

    城壁をイメージしたという「高橋」  国道8号線から聖泉大学方面へ向かう道中に「高橋」がある。欄干の上部が瓦風の造りになっている。橋を管理する県に尋ねると、城壁をイメージしているという。橋を南に渡った肥田町に、かつて肥田城があったことにちなんでいるそうだ。  肥田城は浅井長政にゆかりある城である。  江北を領... 続きを読む

  • 2011年3月9日

    日本の風景 オコナイ
    長浜市木之本町

    木之本町の田神山観音寺のオコナイ  「オコナイ」は今となっては不思議な儀式である。少し前までは当たり前に行われていた祭礼で、不思議と感じるのは何かしらの失ってしまった欠片の多くがあることを、感じることができるからだろう。  「オコナイ」とは、『村内の豊作と安全を祈願し、一月から三月にかけて繰り広げられる祭りの... 続きを読む

  • 2011年3月4日

    波兎の文様

     湖を渡る船に乗り、冬の竹生島に上陸した。周辺は水深100メートルを越え、島は湖底から塔のようにそびえ立っている……。  目的は、波と兎の文様(竹生文様)の写真を撮ること。竹生島文様というからには、この島にも文様はなければならない。確かに兎は、唐門にあったが、波は彫られていない。僕が今まで見てきたどの竹生島文様とも... 続きを読む

  • 2011年2月23日

    江展望 2011
    全長寺の囲炉裏ばたで、 市の最期を思う

    全長寺  江の母、市は長政の自刃から10年後、柴田勝家に再嫁している。市は茶々・初・江の三姉妹と共に勝家の居城越前・北庄城へ移り住んだ。市は35歳、勝家は61歳。「本能寺の変」直後のことだった。しかし、1年もたたない間に、信長の後継を巡って賤ヶ岳の合戦が始まり、結婚生活は長く続かなかった。  柴田勝家vs羽柴... 続きを読む

  • 2011年2月21日

    西浅井発! チャンバラフィットネス

    「チャンバラフィットネス」をする子どもたち  音楽が始まると子どもたちが駆け出し、木刀を構え、斬りつけるように身体を動かす。踊りでも武道でもない。初めて見るそれは「チャンバラフィットネス」というエクササイズだ。  考案し、指導しているのは、西浅井町にお住まいの土井健守さん(45)。町内のキャンプ場の管理人として... 続きを読む

  • 2011年2月19日

    1000まで49
    ボランティア110番動物園

    「動物さんの野菜畑です。狸さん。荒らさないでね!」の看板  雪が積もって境界が判らなくなった駐車場の向こうは畑なのだろう……。「動物さんの野菜畑です。狸さん。荒らさないでね!」と手書きの看板があった。「ふれあいひろば ボランティア110番動物園」。  行き場をなくした小動物たちが命をつないでいる場所である。園... 続きを読む

  • 2011年2月2日

    江展望 2011
    尾崎神社に残る長政と市の記憶

    尾崎神社  大河ドラマ「江〜姫たちの戦国〜」が始まった。第一話は織田信長の攻撃によって浅井長政の居城・小谷城が落城するまでが描かれていた。長政のもとへ嫁いだ信長の妹・市が、次第に長政の人柄に惹かれていく様子が印象的だった。ただ実際のところ長政と市がどのような結婚生活を送っていたのかは、ほとんどわかっていないら... 続きを読む