淡海の妖怪

  • 2020年11月24日

    妖怪退治とご先祖・下「水犀」

    春日神社 春祭り(オコナイ)の神饌(© Masaki Sugihara)  三上山の百足退治や平将門討伐で知られる藤原秀郷(俵藤太)を始祖に仰ぐ武家は多い。妖怪や怨霊退治の英雄をご先祖にというのはよくある話なのかもしれないと、「妖怪退治とご先祖・上」で書いた。今回は水犀(すいさい:東近江市)を退治し... 続きを読む

  • 2020年11月17日
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    妖怪退治とご先祖・上

     10月14日、彦根商工会議所が主催する彦根ヒストリア講座の「蒲生氏郷の章」に参加した。氏郷(1556~1595)は、近江日野出身の戦国武将である。祖父は蒲生定秀、父は蒲生賢秀、近江守護六角氏の重臣だった。あまり注目してこなかったので興味深かった。そのなかでも「藤原秀郷(俵藤太)の子孫とされ、龍神が秀郷に贈った十品のう... 続きを読む

  • 2020年10月6日
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    「蚊の精」と「蛟(みずち)」 2

     『中仙道守山宿』(宇野宗佑著、青蛙房)の「蚊と蛟」に、猫面蛇身の怪蛇の記述があった。寛保・安永(1741〜1779)の頃の学者・宇野醴泉が村人から聞いた話という。  「安永四年乙未(きのとひつじ)の夏、六月二十六日、近江国野洲郡石田村溝渠中ニ物有リテ半身ヲ出ス、猫面蛇身(びょうめんじゃしん)、耳有リ、髭有リテ角(つの... 続きを読む

  • 2020年9月10日
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    「蚊の精」と「蛟(みずち)」 1

     夏は蚊の季節である。今年はコロナ禍と酷暑でクーラーをかけた部屋で巣籠もりという塩梅だから、例年に比べると虫刺されの薬の世話になることも少ないように思う。  狂言『蚊相撲』に登場する「蚊の精」は江州守山出身、立派な淡海の妖怪である。アニメ『犬夜叉』(高橋留美子作)に登場する、蚤の妖怪「冥加」のように危険が迫ると真っ先に... 続きを読む

  • 2020年8月12日

    クサビラ神

     「くさびら」とはキノコのことだ。漢字で「菌」或いは「茸」と書く。  栗東市中沢に全国唯一「菌」の名を戴く神社があり、御朱印にはキノコがデザインされている。『妖怪・土俗神』(水木しげる著/PHP研究所)に「クサビラ神」として菌神社の話が載っている。 舒明天皇の六三〇年ころ、このあたりにひどい飢饉があり、人々... 続きを読む

  • 2020年7月2日

    ガワタにトッコを抜かれてはたまらん!!

    伊吹山文化資料館で展示されている天然記念物イヌワシの幼鳥の剝製 イヌワシと天狗  一年ほど前、伊吹山文化資料館(米原市春照)の髙橋順之さんからメールをいただいた。「資料館で牧野富太郎に関する企画展をしています。その展示資料の江戸時代の文献に伊吹山の『蜘蛛ノ火』についての記載があります」というものだった。「蜘... 続きを読む

  • 2020年5月25日
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    デンダイドのミステリー

     ここのところ河童について調べることが多い。調べるといっても資料を眺めているだけなのだが、わからないことばかりだ。妖怪は「妖」しい、「怪」しいものだから仕方ない。旧東浅井郡びわ町の河童の昔話に解けないミステリーがあった。  下八木の南西に「デンダイド」という大きな沼があった。沼のそばに「デンダ」という爺さんが住んでいた... 続きを読む

  • 2020年5月5日

    新型コロナウイルスと妖怪

    アマビエを描いてみた アマビエはアマビコ  「アマビエ」という妖怪が新型コロナウイルスの感染拡大とともに話題になっている。実はアマビエの名はアマビコが正しい。『明治妖怪新聞』(湯本豪一編)は、近代化が推し進められた明治時代に新聞紙上を賑わせた妖怪や怪奇譚を集めた書籍だ。アマビエについて記されている。 〝肥後の... 続きを読む

  • 2020年4月6日
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    皿のない河太郎(河童)

     春が訪れると、頭をよぎる妖怪がいる。『高橋敬吉 彦根藩士族の歳時記』(藤野滋編・サンライズ出版)に記されている「河太郎」だ。  彦根城の琵琶湖側、観音堂筋(馬場1丁目)は彦根藩士たちが暮らしていたところだ。子どもたちは春、水が温む頃、堀で魚釣りを始める(現在は堀での魚釣りは禁止)。当時の堀は深く、はまったら「どちや河... 続きを読む

  • 2020年3月5日
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    竹やぶ老人 — 山東町

     旧・山東町の伝説を集めた『続・山東昔ばなし』に「竹やぶ老人」が収録されている。妖怪としてではないが、妖怪っぽいので紹介しておくことにする。こんな話である。  むかし、山東町内の路上で、白髪が肩よりも長く、杖を手にした見知らぬ老人の姿がたびたび目撃されたことがあった。その眼光は鋭く、人の心の内側まで見通すようだった。そ... 続きを読む

  • 2020年2月12日
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    ヤマトタケルの「言挙」

     長い間「どうしてだろう、何故だろう」と思っていたのは、伊吹山の白い猪のことである。ヤマトタケルは東征を全戦全勝で終え、大和への帰途、伊吹山の神(白い猪)と素手で戦い致命傷を負った。  観光パンフレットや伊吹の伝説、昔話にはヤマトタケルが伊吹山の神である白い猪(或いは、大蛇)に負けた理由を「伊吹山の神の毒気」にあてられ... 続きを読む

  • 2019年12月31日
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    目一つ坊・茄子婆

     青坊主という淡海の妖怪がいる。「一つ目の妖怪で、寺の坊主姿をしている。妖怪画家の鳥山石燕に〝青坊主〟と名付けられるが、本来は〝目一つ坊〟と呼ばれる。今から千年ほど昔、京都の東にある比叡山の延暦寺という大寺に、慈忍和尚というえらいお坊さんがいたが、弟子がなまけ者だったので、死んでからは一つ目の妖怪になり、修行をなまけて... 続きを読む

  • 2019年12月5日
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    『今昔物語集』より 其の二「目玉しゃぶり」 

     インターネット上に、滋賀県の妖怪として「目玉しゃぶり」という妖怪が散見される。絹に包んだ小さな箱を持って瀬田の唐橋に立っている美しい女で、旅人が前を通り過ぎようとすると呼び止められ、「橋のたもとにいる女に届けて欲しい」と頼まれる。怪しいと思いながらも女の美しさ故か、箱を受け取ると、女に「絶対に中を見てはいけない」と念... 続きを読む

  • 2019年11月15日
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    『今昔物語集』より 其の一

     「KBSラジオ」で月1回、「滋賀民報」は月に2回、「淡海の妖怪」を紹介する機会をいただいている。少し前、「安義橋(あぎのはし)の鬼」を取り上げた。平安時代末期の説話集『今昔物語集』巻第二十七「近江国安義橋鬼噉人語(あぎのはしのおにひとをくらふこと)第十三」に記された鬼女の話だ。簡単に記すとこんな感じである。  近江... 続きを読む

  • 2019年9月25日
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    蟹ヶ坂の蟹

     前号で、坂上田村麻呂が悪鬼大嶽丸を討伐の後、「今や悪鬼も平定された。 これより後は、この矢の功徳を以て万民の災いを除くこととする。 この矢の落ちた地に私を祀りなさい」と矢を放ち、矢が落ちた場所に本殿を建てたといわれているのが、厄除で有名な田村神社(甲賀市土山町)である、というところまで話した。今号はその続き、土山宿の... 続きを読む

  • 2019年9月13日

    坂上田村麻呂編

    ハート形の猪目紋  2019年も8ヶ月が過ぎようとしている。この話は正月にしようと思っていたのだが、今になってしまった……。 今年の干支は「己亥(つちのとい・きがい)」である。「イノシシ」ではない。  順序や方向を現す漢字「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」が「十二支」。「甲・乙・丙・丁・戊・己... 続きを読む

  • 2019年8月9日

    人魚

    人魚塚  「人魚塚」(蒲生郡日野町小野)を訪れた。人魚というから豊かな水の郷を思い浮かべる人も多いだろうが、随分と山奥である。今年1月から『滋賀民報』で月2回「淡海の妖怪」について連載を書かせていただいている。其の十四が「人魚」。人魚塚へは事実確認の旅だった……。  奇しくも「人魚のミイラ」(全長約72センチ... 続きを読む