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淡海の妖怪

  • 2019年9月25日
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    蟹ヶ坂の蟹

     前号で、坂上田村麻呂が悪鬼大嶽丸を討伐の後、「今や悪鬼も平定された。 これより後は、この矢の功徳を以て万民の災いを除くこととする。 この矢の落ちた地に私を祀りなさい」と矢を放ち、矢が落ちた場所に本殿を建てたといわれているのが、厄除で有名な田村神社(甲賀市土山町)である、というところまで話した。今号はその続き、土山宿の... 続きを読む

  • 2019年9月13日

    坂上田村麻呂編

    ハート形の猪目紋  2019年も8ヶ月が過ぎようとしている。この話は正月にしようと思っていたのだが、今になってしまった……。 今年の干支は「己亥(つちのとい・きがい)」である。「イノシシ」ではない。  順序や方向を現す漢字「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」が「十二支」。「甲・乙・丙・丁・戊・己... 続きを読む

  • 2019年8月9日

    人魚

    人魚塚  「人魚塚」(蒲生郡日野町小野)を訪れた。人魚というから豊かな水の郷を思い浮かべる人も多いだろうが、随分と山奥である。今年1月から『滋賀民報』で月2回「淡海の妖怪」について連載を書かせていただいている。其の十四が「人魚」。人魚塚へは事実確認の旅だった……。  奇しくも「人魚のミイラ」(全長約72センチ... 続きを読む

  • 2019年7月4日
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    亡霊子(ぼうこ)

    亡霊子(ぼうこ)  「さらピン! キョウト」というKBS京都のラジオ番組で、4月から毎月第3月曜日の15時過ぎくらいから「淡海の妖怪」の話をさせていただいている。びわ湖畔のまち・長浜から情報を発信『長浜み〜な』(vol.137)の「彦根城下町-まちの誇りに磨きをかける-」では「妖怪は語る!」、滋賀県唯一の革新地方誌『... 続きを読む

  • 2019年3月7日

    雷獣と釣瓶落とし

    ふじこめさん(富士神社・封込神社)  「雷獣」。その名は『湖の伝説』(梅原猛著作集16・集英社)で知っていた。いつか今代の富士神社に行くことになるだろうと思っていたが、今年の2月、夕方から急に冷え込み、強い風が吹いた日、25年を要して、ようやくその場所に辿り着いた。  『湖の伝説』には次のように書いてある。夭... 続きを読む

  • 2019年2月4日
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    星鬼・蓑火・龍灯

     「蓑火(みのび)」という妖怪がいる。かつて近江の大藪村(現・彦根市大藪町)辺りの湖岸に出没した怪火である。  『百鬼解読』(多田克己著 講談社)に、明治時代の妖怪研究家井上円了の一文が引用されている。「近江の琵琶湖には不思議な火があると古老は言う。旧暦五月頃の幾日も降り続く梅雨の、ま近な景色もよく見えないほどの天気の... 続きを読む

  • 2018年12月25日
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    怪牛と隻眼の童子

     本年最後の淡海の妖怪は「怪牛」。隻眼の童子と共に語り継がれている。怪牛の話をする前に、彦根の「一つ目小僧」について触れておきたい。  『高橋敬吉 彦根藩士族の歳時記』(藤野滋編・サンライズ出版)という本がある。彦根藩士族の家に生まれ井伊家家庭教師となった高橋敬吉が大人になるまで彦根で暮らした明治10〜20年代の風俗習... 続きを読む

  • 2018年11月29日

    12月8日の妖怪「魑魅」

    東近江市能登川の勧請縄 勧請縄は、厄災や疫病などが、域内(町内・村内)に入るのを防いだり、域内から追い出すために考えられたものだ。ここにも目がある。  12月8日といえば……、真珠湾攻撃? ジョン・レノンの命日?小説『ハリー・ポッターと賢者の石』が日本で刊行された日? 記憶は様々だけれど、この国では「大聖釈尊... 続きを読む

  • 2018年11月13日
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    油坊主(金剛輪寺)

     金剛輪寺の本堂「大悲閣」は「弘安一一年(一二八八)一月建立」の銘が須弥壇にあり鎌倉時代の代表的な和様建造物として国宝に指定されている。1964年東京オリンピックが開催されたとき、文部省は世界に誇る日本の建物として「大悲閣」の模型(スケール1/10)を製作し、東京国立博物館に展示した。金剛輪寺は、国宝・重文の宝庫である... 続きを読む

  • 2018年8月8日

    高宮寺・天狗の三本杉

     『犬上郡誌・高宮町史』(昭和61年発行 / 犬上郡誌 明治14年刊・高宮町史 昭和33年刊 合本)という書籍がある。高宮寺(こうぐうじ)について調べることがあった。寺は中山道を東へ入った、かつての高宮城の近くに位置している。『高宮寺縁起』によれば、奈良時代に行基僧上と婆羅門僧上が、仏教応化のため当地に伽藍を建立... 続きを読む

  • 2017年11月27日
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    ショウケラ 2

     前回、ショウケラという妖怪が彦根の宗安寺にもいたという話をした。  『日本妖怪大事典』(編著:村上健司)には、「石燕による解説はないがショウケラは庚申信仰に関係したものといわれる。(中略)石燕の描いたショウケラは、この庚申の日に現れる鬼、ということがいえるようである」と記されている。その他、ショウケラを「三尸虫(さん... 続きを読む

  • 2017年11月7日

    ショウケラ

    宗安寺 青面金剛 前立ち像  少し前の話になるが、彦根の本町にある宗安寺を会場に「HIKONE STUDENT ART Award 2017」というイベントが行われた。全国の美術系の大学や専門学校の学生を対象にした、滞在アートプログラムである。気になる作品もいくつかあったが、宗安寺の青面(しょうめん)金剛に扮... 続きを読む

  • 2016年4月15日

    オタマサン(ケセランパサラン)

    2014年のオタマサン、ガガイモの種子。  理由があって「淡海の妖怪」の再考を始めている。今回は、彦根市高宮町周辺に『オタマサン』という妖怪がいたという話だ。「いた」と過去形になっているのは、最近では見かける人がいなくなったということだ。漢字で書くと『お玉さん』若しくは『お珠さん』となるのだろうか…、その辺り... 続きを読む

  • 2016年2月24日
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    どち・河太郎

     20世紀末、僕らは「淡海妖怪学波」として、妖怪コレクションを始めた。それは現代に誕生した妖怪ではなく、その地域だけに語り継がれる昔話に登場するような古典的妖怪たちである。時々、妖怪のことを思い出してやらないと、絶滅してしまうから…、そんな理由からだった。  過日、「一つ目小僧」の原稿を書く必要があり、『高橋敬吉 彦根... 続きを読む

  • 2015年12月16日

    先喰烏(せんじきがらす)

     淡海の妖怪を調べはじめたのは、高速道路のパーキングで、水木しげるさん監修のキーホルダー型「妖怪図鑑」を買ったのがきっかけだった。翌日、シャワーで頭を洗いながら「淡海にしかいない妖怪を探してみよう」と思った。11月30日、水木さんがお亡くなりになった。妖怪を探していれば何時かはお会いできると思っていたので、とても... 続きを読む

  • 2015年9月16日
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    太郎が母

     北陸新幹線が金沢まで開通し、敦賀ー大阪間の米原ルート実現に向けて決起集会が行われるなど、都市間の時間距離は更新され、快適で便利な移動が実現していく。代わりに、かつて北国街道柳ヶ瀬(余呉町)に近江国最北端の関所が置かれていた記憶は遠く希薄なものになっていく。世の中の不安に比例するかのように妖怪ブームである。妖怪の力を借... 続きを読む

  • 2015年2月19日
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    一つ目小僧

     日本人は、昔から自然と共に暮らしながら、「理解できない」「あやしい」「不思議」な現象に名前を与えて、妖怪を生み出してきた。それは人が生きていくための知恵と想像力のたまものだった。不思議な現象を妖怪の仕業として理解(納得)し、また、妖怪の威をかりコミュニティの禁忌を守り、子どもたちの躾も妖怪の名を唱えながら、暮らしを豊... 続きを読む