淡海の妖怪

  • 2020年5月5日

    新型コロナウイルスと妖怪

    アマビエを描いてみた アマビエはアマビコ  「アマビエ」という妖怪が新型コロナウイルスの感染拡大とともに話題になっている。実はアマビエの名はアマビコが正しい。『明治妖怪新聞』(湯本豪一編)は、近代化が推し進められた明治時代に新聞紙上を賑わせた妖怪や怪奇譚を集めた書籍だ。アマビエについて記されている。 〝肥後の... 続きを読む

  • 2020年4月6日
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    皿のない河太郎(河童)

     春が訪れると、頭をよぎる妖怪がいる。『高橋敬吉 彦根藩士族の歳時記』(藤野滋編・サンライズ出版)に記されている「河太郎」だ。  彦根城の琵琶湖側、観音堂筋(馬場1丁目)は彦根藩士たちが暮らしていたところだ。子どもたちは春、水が温む頃、堀で魚釣りを始める(現在は堀での魚釣りは禁止)。当時の堀は深く、はまったら「どちや河... 続きを読む

  • 2020年3月5日
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    竹やぶ老人 — 山東町

     旧・山東町の伝説を集めた『続・山東昔ばなし』に「竹やぶ老人」が収録されている。妖怪としてではないが、妖怪っぽいので紹介しておくことにする。こんな話である。  むかし、山東町内の路上で、白髪が肩よりも長く、杖を手にした見知らぬ老人の姿がたびたび目撃されたことがあった。その眼光は鋭く、人の心の内側まで見通すようだった。そ... 続きを読む

  • 2020年2月12日
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    ヤマトタケルの「言挙」

     長い間「どうしてだろう、何故だろう」と思っていたのは、伊吹山の白い猪のことである。ヤマトタケルは東征を全戦全勝で終え、大和への帰途、伊吹山の神(白い猪)と素手で戦い致命傷を負った。  観光パンフレットや伊吹の伝説、昔話にはヤマトタケルが伊吹山の神である白い猪(或いは、大蛇)に負けた理由を「伊吹山の神の毒気」にあてられ... 続きを読む

  • 2019年12月31日
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    目一つ坊・茄子婆

     青坊主という淡海の妖怪がいる。「一つ目の妖怪で、寺の坊主姿をしている。妖怪画家の鳥山石燕に〝青坊主〟と名付けられるが、本来は〝目一つ坊〟と呼ばれる。今から千年ほど昔、京都の東にある比叡山の延暦寺という大寺に、慈忍和尚というえらいお坊さんがいたが、弟子がなまけ者だったので、死んでからは一つ目の妖怪になり、修行をなまけて... 続きを読む

  • 2019年12月5日
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    『今昔物語集』より 其の二「目玉しゃぶり」 

     インターネット上に、滋賀県の妖怪として「目玉しゃぶり」という妖怪が散見される。絹に包んだ小さな箱を持って瀬田の唐橋に立っている美しい女で、旅人が前を通り過ぎようとすると呼び止められ、「橋のたもとにいる女に届けて欲しい」と頼まれる。怪しいと思いながらも女の美しさ故か、箱を受け取ると、女に「絶対に中を見てはいけない」と念... 続きを読む

  • 2019年11月15日
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    『今昔物語集』より 其の一

     「KBSラジオ」で月1回、「滋賀民報」は月に2回、「淡海の妖怪」を紹介する機会をいただいている。少し前、「安義橋(あぎのはし)の鬼」を取り上げた。平安時代末期の説話集『今昔物語集』巻第二十七「近江国安義橋鬼噉人語(あぎのはしのおにひとをくらふこと)第十三」に記された鬼女の話だ。簡単に記すとこんな感じである。  近江... 続きを読む

  • 2019年9月25日
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    蟹ヶ坂の蟹

     前号で、坂上田村麻呂が悪鬼大嶽丸を討伐の後、「今や悪鬼も平定された。 これより後は、この矢の功徳を以て万民の災いを除くこととする。 この矢の落ちた地に私を祀りなさい」と矢を放ち、矢が落ちた場所に本殿を建てたといわれているのが、厄除で有名な田村神社(甲賀市土山町)である、というところまで話した。今号はその続き、土山宿の... 続きを読む

  • 2019年9月13日

    坂上田村麻呂編

    ハート形の猪目紋  2019年も8ヶ月が過ぎようとしている。この話は正月にしようと思っていたのだが、今になってしまった……。 今年の干支は「己亥(つちのとい・きがい)」である。「イノシシ」ではない。  順序や方向を現す漢字「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」が「十二支」。「甲・乙・丙・丁・戊・己... 続きを読む

  • 2019年8月9日

    人魚

    人魚塚  「人魚塚」(蒲生郡日野町小野)を訪れた。人魚というから豊かな水の郷を思い浮かべる人も多いだろうが、随分と山奥である。今年1月から『滋賀民報』で月2回「淡海の妖怪」について連載を書かせていただいている。其の十四が「人魚」。人魚塚へは事実確認の旅だった……。  奇しくも「人魚のミイラ」(全長約72センチ... 続きを読む

  • 2019年7月4日
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    亡霊子(ぼうこ)

    亡霊子(ぼうこ)  「さらピン! キョウト」というKBS京都のラジオ番組で、4月から毎月第3月曜日の15時過ぎくらいから「淡海の妖怪」の話をさせていただいている。びわ湖畔のまち・長浜から情報を発信『長浜み〜な』(vol.137)の「彦根城下町-まちの誇りに磨きをかける-」では「妖怪は語る!」、滋賀県唯一の革新地方誌『... 続きを読む

  • 2019年3月7日

    雷獣と釣瓶落とし

    ふじこめさん(富士神社・封込神社)  「雷獣」。その名は『湖の伝説』(梅原猛著作集16・集英社)で知っていた。いつか今代の富士神社に行くことになるだろうと思っていたが、今年の2月、夕方から急に冷え込み、強い風が吹いた日、25年を要して、ようやくその場所に辿り着いた。  『湖の伝説』には次のように書いてある。夭... 続きを読む

  • 2019年2月4日
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    星鬼・蓑火・龍灯

     「蓑火(みのび)」という妖怪がいる。かつて近江の大藪村(現・彦根市大藪町)辺りの湖岸に出没した怪火である。  『百鬼解読』(多田克己著 講談社)に、明治時代の妖怪研究家井上円了の一文が引用されている。「近江の琵琶湖には不思議な火があると古老は言う。旧暦五月頃の幾日も降り続く梅雨の、ま近な景色もよく見えないほどの天気の... 続きを読む

  • 2018年12月25日
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    怪牛と隻眼の童子

     本年最後の淡海の妖怪は「怪牛」。隻眼の童子と共に語り継がれている。怪牛の話をする前に、彦根の「一つ目小僧」について触れておきたい。  『高橋敬吉 彦根藩士族の歳時記』(藤野滋編・サンライズ出版)という本がある。彦根藩士族の家に生まれ井伊家家庭教師となった高橋敬吉が大人になるまで彦根で暮らした明治10〜20年代の風俗習... 続きを読む

  • 2018年11月29日

    12月8日の妖怪「魑魅」

    東近江市能登川の勧請縄 勧請縄は、厄災や疫病などが、域内(町内・村内)に入るのを防いだり、域内から追い出すために考えられたものだ。ここにも目がある。  12月8日といえば……、真珠湾攻撃? ジョン・レノンの命日?小説『ハリー・ポッターと賢者の石』が日本で刊行された日? 記憶は様々だけれど、この国では「大聖釈尊... 続きを読む

  • 2018年11月13日
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    油坊主(金剛輪寺)

     金剛輪寺の本堂「大悲閣」は「弘安一一年(一二八八)一月建立」の銘が須弥壇にあり鎌倉時代の代表的な和様建造物として国宝に指定されている。1964年東京オリンピックが開催されたとき、文部省は世界に誇る日本の建物として「大悲閣」の模型(スケール1/10)を製作し、東京国立博物館に展示した。金剛輪寺は、国宝・重文の宝庫である... 続きを読む

  • 2018年8月8日

    高宮寺・天狗の三本杉

     『犬上郡誌・高宮町史』(昭和61年発行 / 犬上郡誌 明治14年刊・高宮町史 昭和33年刊 合本)という書籍がある。高宮寺(こうぐうじ)について調べることがあった。寺は中山道を東へ入った、かつての高宮城の近くに位置している。『高宮寺縁起』によれば、奈良時代に行基僧上と婆羅門僧上が、仏教応化のため当地に伽藍を建立... 続きを読む