三成の気持ち

夢京橋あかり館企画展示 MITSUNARI 11

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 2011年3月27日更新

 気になるイベントがある。「三成イレブン」……よく解らない。ホームページに、主催者の次のようなメッセージがあった。

 「MITSUNARI 11」の展示イベントについては、開催を自粛すべきとの意見も多数ありましたが、検討を重ねたうえ、予定通り開催することにいたしました。
 三成の気持ちは、「大一大万大吉」の旗印に象徴されています。この旗印の意味は様々な解釈がされていますが、「一人が皆のために、皆が一人のために働けば、天下太平となる」、或は、「ONE FOR ALL, ALL FOR ONE」というのが理解しやすいと思います。私たちは今、復興に向けて、「大一大万大吉」の精神を具現する人々の姿を目の当たりにしています。そして、今、この時、私たちは彦根で何ができるのかと考えた時、自粛するより、「MITSUNARI11」を開催することで、友を信じる気持ち、最後まで挽回を信じどんな苦境にあろうとも諦めない三成の気持ちを伝えたいと考えております。

© HIDEKI MIYASHITA/KODANSHA

 どうやら、イベントではなく石田三成にスポットをあてた企画展示らしい。そして、イレブンは、島左近・大谷吉継・真田幸村・直江兼続・宇喜多秀家・佐竹義宣・小西行長・安国寺恵瓊・舞兵庫・蒲生郷舎に三成を加えた11人。それぞれ、肖像画を展示する。
 その他、週間「ヤングマガジン」誌上にて『センゴク天正記』を連載中の宮下英樹氏が、独自の世界観で描いた石田三成の肖像画や、株式会社コーエーテクモゲームスの協力で『戦国無双3』に登場する武将キャラクターの等身大パネルも展示されるという。『戦国無双3』は、「歴史ブーム」を生み出した戦国アクションゲームの最高峰だ。過去から現在まで、様々な石田三成の姿を観ることができそうである。
 石田三成の人生は秀吉と共にあったといってもいい。秀吉の死後、限りなく純粋な忠誠心が、三成を関ヶ原の合戦へと突き進ませ、250万石徳川家康相手に、19万石の三成が戦うのである。『友を信じる気持ち、最後まで挽回を信じどんな苦境にあろうとも諦めない三成の気持ち』、土豪石田正継の次男として生まれ、一人から始まって6000人の家臣団を築き上げた三成の旗印が「大一大万大吉」である。
 宮下英樹氏の描く石田肖像画に添えられたメッセージが素晴らしい。
『この絵は関ヶ原合戦、小早川秀秋に裏切られ、まさに絶体絶命の場面をイメージしたものです。「史上最悪の危機を乗り越える史上最大の方程式」に生涯をかけて挑む数学者のような、怯むでなく心躍らせる表情で描きました。(中略)おそらく権力やリーダーシップに興味の無かったであろう三成にとって関ヶ原の合戦は、勝敗より、よもすれば豊臣家のことよりも、日本全土の森羅万象の方程式に挑むことが重要だったと思えてしまうのです。』
 派手な多くの展示の中で、この絵だけは別格であるように思う。

宮下英樹氏プロフィール

漫画家。石川県出身。2001年、第44回ちばてつや大賞(ヤング部門)を受賞し、同年「ヤングマガジン」でデビュー。2004年、代表作である本格歴史漫画『センゴク』の連載を開始。迫力と魅力に溢れた武将たちを描くその筆致と、取材や古文書に基づくリアルな描写で大人気を博す。
現在は、「ヤングマガジン」誌上にて『センゴク天正記』を連載中。

夢京橋あかり館企画展示 MITSUNARI 11

日時: 2011年3月26日〜2012年3月31日
場所: 夢京橋あかり館

『戦国無双3』・武将キャラクター パネル展示 / ひこにゃんが案内する彦根三成記念物映像初公開

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

小太郎

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