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まち・文化

  • 2020年7月30日
    No Image

    不立文字

     生来の人見知りで出不精であるにも関わらず、人と会う仕事をしている。書く仕事を選んだのは、話すのも苦手だったからで、考えていることを書き直しできるからだった。発した言葉はもうもどらない。  雨がたくさん降って、近ごろは「丁度良い(好い)加減」というものがなくなった。全てが過剰だ。コロナ禍のニューノーマルは、僕のライフス... 続きを読む

  • 2020年7月29日

    汽車弁はよいものである
    湖北のおはなし

    「湖北のおはなし」  サイコロキャラメルならぬサイコロ飴が入っている。ご縁がありますようにと五の目が上になっている。 駅弁と汽車弁  汽車の旅がいい……。僕は汽車の旅をしたことはないが、今でも憬れている。  駅弁は通り過ぎるまちが誇る逸品を少しずつ味わうことができる弁当である。旅を愛する人は「駅弁... 続きを読む

  • 2020年7月20日

    湖東・湖北 ふることふみ 70
    封建社会の納税(後編)

     日本史を俯瞰すると海外では考えられない日本人独特の好みがある。それは「世襲」と呼ばれる代々の血や名誉の繋がりである。  海外でも世襲は存在するが、どちらかといえば権力者が主張するものであり一般人がそれを完全に是とはしていない。  しかし、日本では平安時代初期に財力を失った天皇が千年を超えた現在でも国民の象徴とし... 続きを読む

  • 2020年7月16日

    玩具伝説 おもちゃの60年史

     愛荘町立歴史文化博物館で、7月23日(木)から始まる夏季特別展「玩具伝説」には200点以上のおもちゃが展示される。パンフレットには、〝戦後初のおもちゃ「小菅のジープ」や、野球盤やカロムといった長く愛されている玩具から、世界初の家庭用ゲーム機である「オデッセイ」や、大人気となった「ファミリーコンピュータ」などのビ... 続きを読む

  • 2020年7月8日

    山内さんの愛おしいもの・コト・昔語り 「シソミソ」

    6月中頃の赤シソ。梅雨明けごろがシソミソにも梅干しにも最適だ。  ご縁があって、長浜市木之本町古橋にお住まいの山内喜平さん(93)和子さん(92)ご夫妻にお会いしてお話を聞き色々教わっている。ふと耳にする山内さんのお話が面白い。今回は、「シソミソ」。  「シソミソ」は赤シソと味噌で作る保存食だ。喜平さんにとっ... 続きを読む

  • 2020年6月30日

    足腰安全のご利益

     国道306号線、野田山町の信号に「金毘羅宮」「慈眼寺(じげんじ)」の看板がある。何時か行ってみたいと思っていた。DADAジャーナル4月号に彦根藩士平石久平次によって作られた世界初の自転車「新製陸舟奔車」の記事を書いた。「よく似たものが金毘羅宮にある」と友人が言うものだから、ようやく金毘羅大権現に参ることができた... 続きを読む

  • 2020年6月17日

    湖東・湖北 ふることふみ 69
    封建社会の納税(前編)

    彦根藩の年貢集積地の一つ松原御蔵跡(現・滋賀大グランド)  私たちはなぜ税金を支払っているのか?  生まれたときから当たり前のように納税義務があり、その税率も勝手に決められていると感じてしまう。もちろん民主主義においては税金も国民の代表が民意で決めたという建前は成り立っているが、どうしても一方的に決まったよう... 続きを読む

  • 2020年6月10日

    山内さんの愛おしいもの・コト・昔語り「そばなときゅーちゃん漬け」

    きゅーちゃん漬けとそばなのお浸し  ご縁があって、長浜市木之本町古橋にお住まいの山内喜平さん(92)和子さん(92)ご夫妻にお会いしてお話を聞き色々教わっている。ふと耳にする山内さんのお話が面白い。今回は、「そばな」と「きゅーちゃん漬け」。  山内さんが「そばな」と呼ぶのは、そばの間引き菜で、お浸しにしてもて... 続きを読む

  • 2020年5月28日

    「尊意」と「こねり山」

    成光寺から望むこねり山  DADA4月号「淡海の妖怪」の中で、比叡山中興の祖・元三大師良源について、「元三大師と呼ばれるのは正月三日にお生まれになったから」と書いてあった。米原市上丹生に住む木彫師・森哲荘さんから「生まれた日じゃなくて、お亡くなりになった日ですよ」とご指摘をいただいた。  森さんは「元三大師良... 続きを読む

  • 2020年5月20日

    山内さんの 愛おしいもの・コト・昔語り「小鮎のへしこ」と「鮎寿司」

    鮎寿司を漬ける喜平さんと和子さんと(平成25年ごろ)  ご縁があって、長浜市木之本町古橋にお住まいの山内喜平さん(92)和子さん(92)ご夫妻にお会いしてお話を聞き色々教わっている。ふと耳にする山内さんのお話が面白い。今回は、「小鮎のへしこ」と「鮎寿司」。  前回、ゼンマイと川原ゼンマイ(コゴミ)のことを書い... 続きを読む

  • 2020年5月18日

    湖東・湖北 ふることふみ 68
    文久と明治のコレラ

    門野留吉翁頌徳碑 / 明性寺(彦根市本町3丁目3-56 )  安政5年(1858)から流行したコレラは翌年に一度収束の兆しを見せる。しかし三年後の文久二年に再び江戸で大流行した。テレビドラマにもなった村上もとかさんの漫画『JIN―仁―』(集英社)の早い段階のストーリーとしてコレラとの闘いが描かれているが、この... 続きを読む

  • 2020年5月13日

    日本一大きなカロム盤

     「謎めく盤上の格闘技カロム展」が多賀町多賀の「山之神スタジオ」で開催された。カロムはかつて全国に普及したが、忘れ去られたゲームだ。何故か彦根市を中心に100年以上遊び継がれ、今では伝統遊具として語られるようになった。日本伝来の経緯などはわかっていない。また、岩手県では「闘球盤」という名でカロムが存在しているなど... 続きを読む

  • 2020年5月1日
    No Image

    たとえ明日、地球が滅びるとも

     仕事の合間にアニメや映画をチェックすることがある。『感染列島』(2008年)を観た。新型ウイルスが原因で起こる、感染拡大の恐怖と闘う人々、医療現場の最前線を描いた話だ。  映画のなかで、WHOから派遣されたメディカル・オフィサーの小林栄子(檀れい)が「たとえ明日、地球が滅びるとも、今日君は林檎の木を植える」という言葉... 続きを読む

  • 2020年4月29日

    世界初の自転車 陸船車 vs 新製陸舟奔車

    新製陸舟奔車は2003年に復元され、現在彦根市立図書館の所蔵物として彦根市民会館に保管されている。  先月、3月19日付の朝日新聞に「『最古の自転車』復元 世界へ発信のチャンス」という記事があった。木製の船のような見た目だが、足踏みで歯車を回して車輪を駆動させる仕組みで「陸船車」という。享保14年(1729)... 続きを読む

  • 2020年4月13日

    湖東・湖北 ふることふみ 67
    幕末のパンデミック

    長野主膳も利用した京都の彦根藩邸跡(木屋町通三条下ル)  世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルスはWHOから「パンデミックと言える」との見解が出されるまでになった。実際に日本国内の様々な活動自粛や世界の感染者の推移を見ても世界的流行であることは間違いない。そして全世界と簡単に繋がっていける現在においては... 続きを読む

  • 2020年4月1日

    森鈴の猫

     少し前、米原市堂谷の「森鈴(もりりん)」という古民家カフェに行くことがあった。飼い猫が4匹いた。  僕の家にいる猫は、僕と一定の距離を保ち、決して触らせてくれない。手を出せばすんでのところで、回避する。無理に触ると噛みつく。それでいて一定の距離を保つところは見事である。編集部の事務所にも猫がいたが、いなくなって... 続きを読む

  • 2020年3月31日

    山内さんの愛おしいもの・コト・昔語り「ゼンマイ」と「川原ゼンマイ」

    ゼンマイ(左)と川原ゼンマイ  ご縁があって、長浜市木之本町古橋にお住まいの山内喜平さん(92)和子さん(92)ご夫妻にお会いしてお話を聞き色々教わっている。ふと耳にする山内さんのお話が面白い。今回は、「ゼンマイ」と「川原ゼンマイ」。  「コゴミはどうして食べる?」。山菜の話をしていて喜平さんに問われた。「茹... 続きを読む