森鈴の猫
少し前、米原市堂谷の「森鈴(もりりん)」という古民家カフェに行くことがあった。飼い猫が4匹いた。
僕の家にいる猫は、僕と一定の距離を保ち、決して触らせてくれない。手を出せばすんでのところで、回避する。無理に触ると噛みつく。それでいて一定の距離を保つところは見事である。編集部の事務所にも猫がいたが、いなくなって久しい。猫を抱きたい、触りたいという思いが募っていた。
森鈴は最高の癒しの空間となった。日替わりランチ「創作森の御前」を注文した後、料理が運ばれてくる間、猫を抱き寄せ撫でまわし、テーブルの向かい側の椅子に陣取った猫と戯れ、満足だった。
家に帰り、背中を見せる猫を見て思った。こいつはこの距離が心地良いのだ。その証拠に僕が帰ると、まれに玄関にいることもあるし、出かけるときには2階の窓から見送ってくれることもある(気のせいかもしれないが)。所定の場所に座ると、絶妙な位置にやってくる(かまってほしいのだ)。猫には猫の事情がある。
僕の、「猫を抱きたい、触りたい」は、「森鈴に行きたい」に代わるのだろうか……。
森鈴の日替わりランチについてはいずれまた。
【編集部】