たとえ明日、地球が滅びるとも
仕事の合間にアニメや映画をチェックすることがある。『感染列島』(2008年)を観た。新型ウイルスが原因で起こる、感染拡大の恐怖と闘う人々、医療現場の最前線を描いた話だ。
映画のなかで、WHOから派遣されたメディカル・オフィサーの小林栄子(檀れい)が「たとえ明日、地球が滅びるとも、今日君は林檎の木を植える」という言葉を残した。
『ゲオルグの謎』(柴田昭彦)によると、オリジナルは16世紀の宗教改革者マルティン・ルターの言葉(ルターが話した事実はないらしい)で「今日私(自分)はリンゴの木を植える」と一人称になっている。開高健は、この言葉が気に入り、「自分は」「私は」を意図的に「あなたは」「君は」に変更して、求めに応じて色紙に書いて紹介するようになったという。
「たとえ明日、地球が滅びるとも、今日君は林檎の木を植える」
今、最も美しい言葉かもしれない。
【小太郎】