森を守る「森林レンジャー」という仕事

橋本勘さん

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 西浅井町 2015年5月1日更新

 橋本勘さんと出会ったのは、春先に塩津の道の駅「あぢかまの里」で行われた道の駅まつりでのことだ。「森林レンジャー」というその肩書きの響きに魅かれて以前から会ってみたいなと思っていた。ちょうどこの日、橋本さんが入会する「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」がブースを出店しているということで訪ねたのだった。勝手に、森を守る「山の男」をイメージしていたから、その物腰の柔らかな人柄に拍子抜けしてしまうほどだった。
 橋本さんは、大阪生まれ。2009年に父親の実家である西浅井町山門に移住してきた。山門を拠点に何かしようと考えていたところに、県の琵琶湖森林レンジャー活動事業で山門水源の森の調査・保全を行う仕事が見つかり、森林レンジャーとなった。2012年からは長浜市の職員として山門水源の森の他にも、深坂古道や奥琵琶湖パークウェイなどにもフィールドを広げて活動している。
 森林レンジャーの仕事は、植生の調査や希少植物の保護、訪れる人のガイドなど多岐にわたる。動植物の知識も豊富で、調査・研究も行う。昨年は山門水源の森に群生するユキバタツバキの調査を行ったそうだ。ちょうどユキバタツバキの観察会があるとのことでお誘いいただき、観察会に参加することになった。
 4月5日、観察会の日。あいにくの雨だが、山門水源の森には20人ちかくの参加者が集まった。ユキバタツバキは、日本海側の多雪地帯に生息するユキツバキと本州西南部に生息するヤブツバキの中間雑種で、両方の特徴を持つ珍しいツバキだ。最初にユキバタツバキに関する簡単なレクチャーを受けたあと、橋本さんの案内で森の中を歩く。
 この森は、60年ほど前までは炭焼きの山として使われていたそうだが、その後ゴルフ場開発の計画が持ち上がり頓挫、県が公有地化して現在に至る。昔のように人の手が入らなくなったことで荒れてしまったが、2001年に発足した「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」の活動により少しずつ森が再生しているのだという。

 そんな話を聞きながら、ユキバタツバキの群生地に到着。ちょうど咲きはじめの頃で、ぽつりぽつりと赤やピンクの花が咲いている。ツバキの株にはそれぞれ番号タグが付けられていて、その数は実に4808本にもなる。そのひとつひとつは全て橋本さんが昨年の調査で付けたものだ。ユキツバキとヤブツバキの両方の特徴を持つというだけあって、花や葉の形・色などが株によって、また同じ株でも異なっていたりする。今までどちらかというとあまり植物に興味はなかったが、こうやって話を聞いて実際に観察するとおもしろい。観察会を堪能して、さらに珍しい植物もたくさん見せてもらって、すっかり山と希少植物の虜になってしまった。
 帰り際には、最近の鹿による獣害の話も伺ったが、やはり人の手が入らなくなったことで生態系のバランスが崩れ、その歪みが鹿の大量繁殖などといった形になって現れているのだという。「森を守るというのは、ただ単に希少植物を保護するというわけではなく、最終的には自分たちを守るということにも繋がっていくのだと思います」という言葉が印象的だった。
 ところで、実はこの春から「森林レンジャー」の名称が改められ、市内のさらに広域に渡って森林の保全以外にも幅広い活動を行っていくことになるのだそうだ。しかし、肩書きは変わっても「森を守る」という橋本さんの使命はきっと変わらない。また近いうちに山門水源の森を訪れたいと思う。

山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会

TEL. 090-5311-0447(事務局 橋本)
http://www.digitalsolution.co.jp/nature/yamakado/

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

はじめ

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