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Takumi Apartment

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2013年12月24日更新

 彦根市「七曲り」。戦国時代、武具職人が業をなし、現在はその流れを組む店や職人が仏壇作りを営んでいる。かつて、彦根の玄関口であった集落である。その職人街に今秋、貸家・貸間業を営む「Takumi Apartment」がオープンした。
 若い夫婦が築170年の町家に移り住み、町家や蔵を改装し、アパートやテナントとして貸し出している。「若い人が気軽に住んだり、店舗にしたりできる町家や蔵がもっと増えるといいですね」と語るのは、オーナーの迫間加奈子さん。加奈子さんは将来的に古民家に住んでゲストハウスの運営や家庭菜園をしたいと思っていた。夫の勇人さんは古民家の構造や職人の技、音楽が好きで、お互いの想いが重なり、数年前から物件探しをはじめ、結果、この町家に出会った。
 しかし、あまりに広すぎる。建屋や土地を個人では持て余すのは一目瞭然だった。この町家はかつて「めん十」という屋号で綿問屋を営んでいた豪商の家系。せっかくの歴史や大工職人の技を伝えるこの場所を、様々な形で多くの人に見てもらいたい。職人街の町屋という場所で感性豊かな若手と地元の方や職人さんが気楽に交わる場所にと、「Takumi Apartment」が生まれた。Takumi(工、何かを作り出す人々)が感性やアイデア、建物、土地をApartment(分割、共有)し、そこに住む人々も訪れる人々も、senseやideaを出し合って、何かおもしろい「こと」や「もの」が生まれれば、という想いの詰まった屋号である。

 気兼ねなくするため友人やその紹介という近しい距離感でお店を募集。その甲斐もあり11月に蔵を改装したワインショップがオープン、来春にはカフェとギャラリーがオープン予定だ。アパートは2区画の内、1区画に若い女性2名が入居し、もう1区画が募集中となっている。
 近年彦根市内だけでも次々に古民家や町家が取り壊され、かつて城下町であった彦根の風情が失われつつある。一方でこのような古い家に魅力を感じ自分なりに改修を施し思い思いに活用している人々も増えている。こういった良い意味で一風変わった若い人々が増え、街の活力となることを願ってやまない。

Takumi Apartment

〒522-0034 滋賀県彦根市大橋町18
http://takumiapartment.com/

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

編集部

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