米原市上平寺にゲストハウスがオープン

上平寺御城下ゲストハウス うむ

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 米原市 2021年8月25日更新

エントランスと川村千恵さん

 〝夏だ! 伊吹山だ!〟と毎年思うのは、ただ高いところが好きで、高い所=(イコール)涼しいという単純な発想からだが、ここ数年は山頂の涼しい空気とお花畑を思い浮かべるだけで、なかなか思いを遂げることはできないでいる。何とかしたいと真剣に考えていたら、伊吹山への登山口の一つである、上平寺登山口近くにゲストハウスがオープンすると耳にした。ここを足掛かりにできれば……と早速訪れてみた。
 「上平寺御城下ゲストハウス うむ」のオーナー・川村千恵さんは、今年3月までの約10年間、長浜市にあった「いざない湖北定住センター」で、空き家バンクの運営や、移住定住・空き家の利活用の相談などを行っていたそうだ。山城好きが高じて大河ドラマ「江」の放映に合わせた、小谷城跡でのガイド養成講座を受講し観光ボランティアも務めている。極めつけは長浜の地域情報誌「長浜み〜な」の原稿執筆にもかかわってこられたという、何だかすごい人だった。
 そんな川村さんは「これからの自分の人生、どうする?と考えたとき、自分事として古民家を地域のために利活用したい!」と思い立ったそうだ。数年間空き家を探し、巡り合ったのが米原市上平寺に立つ昭和61年建築の民家。上平寺には、北近江を支配した京極氏館跡や上平寺城跡(共に国指定史跡)がある。川村さんはゲストハウス運営のキーワードを〝山城〟と〝戦国〟に定めた。

2階からの眺望

 2019年に家の売買契約が成立、その後、家財の整理やリノベーション工事、外構工事など忙しい日々を過ごしてこられたが、家財を処分するのに「お譲り会」と称して欲しい人に譲るイベントを開いたり、今年3月からは上平寺城跡や弥高百坊の探訪ツアー、京極氏関連のトークショーを行ったりと、オープンに先駆けてイベントも多彩に開催。空き家の利活用にかかわってこられた経験、「長浜み〜な」で培った豊富な人脈など、現在に至るまでの川村さんの生きざまがギュッと凝縮されているようだ。
 名称の「うむ」は仏教用語の「有無」にちなみ、今、見えていること、実在していることの「有」と、過ぎ去った歴史・人など今は見ることのできない「無」、上平寺には語り継いでいきたい「有無」がたくさんあり、それらを未来につなぐお手伝いがしたいと名付けた。時には「う〜む」と考え込むことも大事にしたいとも。
 ホームページでは自身を足軽と称している。浅井家から京極家に遣わされている足軽というストーリで、京極氏に代わって台頭する浅井氏、小谷城跡とのつながりも意識されているのか、今後の展開が楽しみだ。

内観

 古民家と呼ぶには少し新しい気もするが、南側と北側に縁側がある贅沢な造り。リノベーションしたお風呂は、信楽焼きのバスタブに檜の壁、きっと良い香りに包まれることだろう。床の間には山城ガイド仲間から贈られた鎧兜などが飾られ、本棚には戦国関連の書籍もずらりと並ぶ。庭ではバーベキューも楽しめる。そして何より、京極氏館跡がすぐそこにある。
 川村さんは「宿泊は一日一組だけ、最大15名くらいの宿泊が可能」と言い、トークショーなどのイベントも検討中。地域に溶け込み、地域の魅力を発信する施設を目指す。
 伊吹山の魅力は、信仰、歴史、山城、植物など多角的に掘り下げることができる。夏でも秋でもいつでも、まず行ってみることだ。

上平寺御城下ゲストハウス  うむ

滋賀県米原市上平寺212
TEL: 0749-56-0220
http://joheiji.com

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

蜻蛉

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