旅館の玄関が食事処に!

清瀧旅館

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2021年9月1日更新

 彦根の芹川沿い、袋町にある清瀧旅館7代目の中溝雅士さん(56)とはすいぶん長いつきあいである。編集部事務所の引き戸が突然開いて「入りま〜す」、或いは「あがりま〜す」と声がして、2階へ続く階段をのぼってくる。声の調子や足音で中溝さんの調子がわかる。大抵はちょっとした手土産を持参。電話ですみそうな用件のあと、その3〜4倍はありそうな雑談をして、突然どどどどっと、つむじ風のように去っていく。風貌よりずいぶんと繊細で、調子の悪いときが2か月3か月と続くときもあり、中溝さんが笑っていると、こちらも嬉しくなってくる。そういう人である。
 清瀧旅館は明治8年(1875)創業、昨年から続くコロナ禍真っ只中の7月15日、旅館の一部を改装して食事処がオープンした。昔ながらの旅館の玄関が突如、明るいお洒落な空間に生まれかわった。
 中溝さんは20歳のときから大阪で10年、日本料理を修業して、家業を継いだ。旅館に泊まるか、地域のイベントなど特別なときにしか食べることができなかった料理は、美味しいと評判だった。お店ができて好きなときに食べることができるようになり、喜んでいる仲間たちも多い。

黒毛和牛ステーキ定食

 「仕入れの具合でメニューを決めます。インスタで確認してくださ〜い」とゆる〜い雰囲気の中溝さんである。
 「黒毛和牛ステーキ定食」(1980円)、「北京の料理人に教えてもらったチャーハンの定食」(1100円)。定食にはご飯・味噌汁のほか、小鉢4品が付く。僕は肉が苦手なので、チャーハンが気に入っている。「チャーハンは玉子料理ですよ」と、修業時代に北京の料理人に本当に教えてもらったという長い名前の定食だ。
 最近、中溝さんは忙しいので事務所にやって来ない。代わりに僕がランチを食べに行く。つむじ風は厨房のなかで絶好調で、僕らは安心し、やっぱり嬉しくなるのである。
 ごちそうさまと帰ろうとすると、「来週も待ってますよ」と言う。つむじ風は孤軍奮闘、きっと寂しいのだ。

食事処  清瀧旅館

滋賀県彦根市河原2-7-10
TEL:0749-22-0071
営業時間  12:00〜14:00 / 18:00〜21:00 / 不定休

サーモン西京焼き定食(1,320円)、牛肉のランプステーキ(1,980円)、自家焙煎珈琲(440円)、飲み物だけでもOK
*新型コロナ感染防止のため営業時間に変更がある場合があります。

Instagram @nakamizomasashi

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

小太郎

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