ヴァイオリンがはこぶ春のそよ風

高岸卓人さん

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2015年3月9日更新

 彦根市の文化施設「ひこね市文化プラザ」で働いていた頃、古株職員の口から「高岸くん」という名まえをしばしば聞いた。皆「高岸くん」を親戚の子どものようにかわいがっていたようだった。
 「高岸くん」こと高岸卓人さんの歩みは、文化プラザの歴史とともにあるとも言える。文化プラザは、彦根市の新しい文化的拠点として、18年前に誕生した。本格的なオーケストラコンサートに適したグランドホールと、小規模の演奏会に適したエコーホールというふたつの音楽ホールを有するこの会館では、開館当初から「ひこね市民手づくり第九演奏会」がグランドホールを舞台に、彦根に縁のある若手演奏家が集う「エコーメモリアル・チェンバー・オーケストラ」がエコーホールを舞台に、スタートしていた。
 一方、高岸さんは、25年前に誕生。彦根市須越町で育った。高岸さんが5歳からヴァイオリンを習い始めると、元々音楽好きだった両親もそれぞれコントラバスとチェロを始め、小学生の頃スタートした第九演奏会のオーケストラに、親子で入団した。
 「エコーメモリアル・チェンバー・オーケストラ」も好きで、演奏会を聴きに行っていた。演奏会の付随事業で、出演者によるレッスンがあり、そこでコンサートマスターの戸澤哲夫さんに教えてもらったことをきっかけに、小学5年生頃、戸澤さんに弟子入りした。大学進学時も、先生の母校、東京藝術大学を選んだ。この春、大学院を卒業する。
 大学進学時は、意外にもプロになろうという意気込みではなく、「興味を持てることが音楽くらいしかないな」という感じだったという。「大学に入ってみて、今までの自分の音楽に対する知識はこんなものだったのか、ということには驚きましたね。すごい演奏家がたくさんいて、刺激も受けました。邦楽器と共に演奏するプロジェクトに参加したり、憧れていたコンサートマスターも何度か経験できたこともよかったですね」と話す。挫折は? と聞くと、「大きい挫折はないんですよね。きっとこれからあるんだろうな、仕事がないとか」と淡々としている。音楽の仕事といえば、オーケストラに入るか、教員になる人が多いようだが、まだまだ勉強を続けたい気持ちもあるようだ。
 「バロック・ヴァイオリンと言うんですが、バッハが生きていた時代の楽器や奏法に興味があるんです。今のヴァイオリンが面的な響きを持つとしたら、当時のヴァイオリンはもっと線的で、音量よりニュアンスを重視する、しゃべるような響き。今と昔の良いところ両方を生かせないかと試行錯誤してます」。
 高岸さんは、ひとつひとつじっくり考えながら質問に答えてくれた。ご自分の持ち味について聞くと、うーんと考え込んで、「なんて言葉にしていいかまだわからないんですよね…」その正直さが持ち味なんだなと思った。
 29日にはスミス記念堂でリサイタルがある。有名な曲が多く、高岸さんにとって挑戦だという。彦根の音楽環境で育ってきた「高岸くん」が、音楽家として踏み出していくのをみにいこう。

 

彦根の音楽家を支援する会設立記念コンサート

高岸卓人ヴァイオリンリサイタル~ヴァイオリンがはこぶ春のそよ風~

日時: 2015年3月29日(日)14:00開演
会場: スミス記念堂(彦根市本町3丁目58)
料金: 1,000円
定員: 50名
ご予約・お問合せ: 090-4287-7738(川﨑)

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

はま

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