映画で遊べば地方が盛り上がる
映画「一遍上人」がつなぐ縁 

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2012年4月23日更新

秋原北胤監督

 2012年6月2日(土)、彦根ビバシティシネマにて『一遍上人』が封切られる。富士川(長野県・山梨県及び静岡県を流れる河川)以西では初公開となるこの映画の成功に向けて、「彦根を映画で盛り上げる会」が動いた。「一遍上人を盛り上げる会」として、秋原北胤監督を招待。4月17日(火)、花しょうぶ通り商店街の、新生「ひこね街の駅寺子屋力石」にて、監督を囲む会を開催した。
 一遍上人と彦根との関係はそれほど深くはない。しかし京へと向かう踊念仏の道中で湖東に立ち寄り、その際一遍の妻「超一」が亡くなったとの記録が残っている。秋原監督は「自分は〝愛〟をテーマに作品を作っています。『一遍上人』のテーマは夫婦愛です」という。苦楽を共にした妻を亡くした地である湖東と一遍との関係を思うと、名古屋圏や大阪圏での上映が難航したこの作品が、夫婦愛の地・彦根で封切られるのは不思議な縁なのかもしれない。
 秋原監督の映画は地方ロケが特徴。今作も全国10カ所で撮影を行った。「出演の際の約束事は衣装を自分で用意することと、ノーメイク。原作の『一遍上人絵伝』を参考に、着物を用意したり、藁を背負ったり、工夫した衣装で参加してくれました」と監督。参加者が衣装を準備することで、映画への想いが強化されるという。
 作品にかかわった人、観た人との交流も監督作品に生きている。「映画を観た人から文句とかご意見とか、たまによい感想をもらうのはとてもありがたいです。意見を取り入れて作品のクォリティをさらに上げていくんです。まずは観てもらうこと。次に一緒に作ることを大切にしています」。

 秋原監督のモットーは、「制作側も地方も無理せず、みんな楽しく」。地方ロケでは、多くの地域や人を巻き込み、当事者意識を作る。ロケ地に選ばれなかった地域の人々が、他地域のロケに参加することも少なくはない。ロケ地にとっては外部から客を呼び込むメリットがあり、外部からの参加者は自分たちの地域の魅力を外に向かってアピールするメリットがある。
 本当の地方活性はみんなが楽しむことからはじまる。映画で遊び、映画を楽しむ。映画で地域を元気にするには、「楽しむ」気持ちから生まれるのではないか。
 「映画は観てはじまる芸術。まずは観てもらって文句や感想を直に伝えてほしいです。6月2日の映画公開以降にまた彦根に来て、観てくださった方と話ができる機会を持ちたいと思っています。文句も嬉しいので、ぜひ映画を観て何か言いに来てください」。
 「一遍上人を盛り上げる会」の目加田宗彦さんは、「映画を通じてまちを明るくするのが目標。自分たちの住むまちを自分たちで良くするのは当然のことです」と話す。映画が好き、映画で遊びたい、映画に参加したい。そんな気持ちの人々が集まって力や知恵を出し合い、楽しみながら映画とかかわる「会」の活動は徐々に活発化している。楽しみのなかから生まれた結びつきが、地域の活性化、盛り上げにつながっていくのだろう。

 

秋原北胤監督プロフィール

 東京大学文学部卒業。1991年より番組プロデューサーとして、多くの吹き替え番組、情報番組を制作。 1993年4月に世界初のインタラクティブドラマ『ゲーム・ザ・ヘブン』を制作。2001年より、ネット映画をプロデュースするようになる。2004年劇場公開作品制作、以降年1本ペースで作品を発表。2012年公開の『一遍上人』より、監督名を秋原北胤と改めた。

映画「一遍上人」

 2012年6月2日(土)彦根ビバシティシネマにて上映。6月2日には秋原北胤監督の舞台挨拶と、主題歌を担当する宇佐元恭一の生ライブが行われる。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

目片

DADA Journal 内の関連記事
スポンサーリンク
関連キーワード