JAZZと酒蔵

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 豊郷町 2010年11月18日更新

豊郷町の岡村本家

 11月1日、豊郷町の酒蔵「岡村本家」のイベントホール「蔵しっく館」にいた。畳敷きの広間にパイプ椅子が並べられ、音響装置が設置されている。舞台にはピアノやドラムなどの楽器。多くの人があわただしく出入りするなかで、リハーサルが行われていた。
 ジャズライブ「渡辺貞夫クインテット」。世界のナベサダ!名プレーヤーの演奏を聴くことができる機会に恵まれたことに、興奮していた。
 「昨年、初めて渡辺貞夫さんがライブをしてくださった際に、ゆっくりお話をさせていただくことができました。木造、土壁の蔵での音響や、お客さんとの距離が近いことを気に入ってくださったようです」。岡村本家の社長岡村博之さん(41)は、会場設営に追われながらも、ゆっくりと話してくださった。
 「蔵しっく館」の1階は、日本酒の瓶詰めをするための作業場で日本酒の薄い芳香が漂っている。
 「新酒の仕込みがちょうど始まったところです。酒造りは違う蔵でしていますが、演奏の音は波動となって伝わり、できあがるお酒になんらかの影響を与えるでしょうね。お酒の変化以上に、酒造りに関わる蔵人が変わりました。世界的なプレーヤーが、自分たちの蔵で演奏をしてくれるということが誇りとなって厳しい仕込みの期間を乗り切るモチベーションアップにつながっているんです」。


夜7時、演奏がはじまった

 夜7時。歓声が湧く。渡辺さんはじめ5人のメンバーが舞台に立ち、演奏が始まる……。金亀ラベルの生酒が用意され、ぐい飲み片手に演奏に聴き入る人も多い。昼間は準備に追われていた関係者も、後方で、そして1階の作業場で耳を澄ませている。
 音は人の耳には聴こえなくなっても、空気を微かに震わせながら蔵を通り過ぎてゆく。
 アルトサックスを操りながら、他のプレーヤーの演奏を見守っているときの渡辺さんの姿……。生で聴き、間近見たこの日を忘れないと思う。
 岡村さんは酒蔵をイベントに活用することについてこんな風に話していた。「お酒を飲む方はもちろん、飲まない方でも酒蔵へ来ていただくきっかけになればいいと思っています」。
 お酒はともかく、私はこれから、ジャズを聴くようになるだろうと話したら、岡村さんはどういうだろう。

 「それでもいいんですよ」、ふわりとお酒の香が漂う……。

岡村本家

滋賀県豊郷町吉田100 / TEL: 0749-35-2538

「金亀」の銘柄で知られる岡村本家は、彦根藩から酒造りを命じられ、創業150余年の歴史をもつ。使わなくなっていた2つの蔵の2階を改装し、イベントや美術品展示の場として活用するようになったのは10年ほど前からだ。ライブも数多く開催していて、渡辺さんの公演は去年の2月に続き2度目である。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

椰子

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