半月舎だより 13

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2017年10月6日更新

古本市に降った雨

 9月20日、半月舎は開店して丸6年をむかえた。この日は定休日だったのだが、たまたま舎主のUさんも舎員のわたしも揃って、おのおの仕事をしていた。ふと「今日で、何年目になるんだっけ」とUさんが言って、そうか、とわたしも日付に気がついた。「がんばってるよねーウモレボンもいい感じだし」とUさんは軽やかに言った。
 さる16日に主催した一箱古本市「ひこねウモレボン市」は、雨だった。屋外で開催するようになって六回目、初めて本格的に雨が降った。会場の護国神社さんのご厚意で本堂の軒下をお借りすることができ、回廊に小さな古本屋が24並んだ。13の飲食店がテントを張って、雨をしのぎながら出店してくれた。雨音とともにしみこんでいくような、ベースの演奏もあった。傘をさしたお客さんが次々訪れ、雨の古本市はなごやかににぎわった。

 天気がよかったら、今回のウモレボン市は、古本出店と飲食店合わせて60近いお店が集う、今まででいちばん大きな市になるはずだった。しかし本に雨は厳禁、軒下での出店とはいえ雨天での決行は実際にくるしい決断で、今回は3分の1ほどの出店がキャンセルとなった。
 「ウモレボンはもっと大きいイベントにできるよ」と言ってくれるひともいる。けれど、回廊の深い軒にまもられて、雨に呼応するようなひとびとのさざめきと音楽を聞きながら、「大きくならなくていいや」と思えた。
 思えば、初めてのウモレボン市も雨だった。たった10店舗ほどがスミス記念堂の小さなお堂のなかに集まって開いた、ほんとうに小さな一箱古本市だった。初めてのイベントで不慣れなことも多く、そのうえ天候は蒸し暑く雨だったにもかかわらず「楽しかった」と帰ってくれたひとたちと、今でもゆったりつながっている。大きくなってしまえば、そうしたひとつひとつのつながりが遠ざかるような気もする。
 そして今回もひどい雨のなかでの出店だったにもかかわらず、多くのひとが「楽しかった」と言いながら帰ってくれた。雨でいいことなんかひとつもないと思いこんでいたけれど、雨はいろいろなものを洗い流して、ウモレボン市にもう一度大事なことを教えてくれた。

M

編集部

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