CAROM NEW TABLE DEBUT

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2017年2月14日更新

 十分に年をとったつもりなので、大抵のことには驚かないし、近頃ではわくわくしていたとしても気取られない自信はあった。「卒業研究制作で新しいカロム盤(New table)を製作した」とFacebookでメッセージが届いた。滋賀県立大学生活デザイン学科の高橋利斉さんからだった。
 カロムは、彦根を中心に湖東湖北で100年以上遊び継がれているボードゲームだ。世界にも様々なカロムボードがあり、ルールも少しずつ異なっている。ただどれも正方形の盤上で、ストライカーを指で弾き、円筒形のパックに当て、コーナーのポケットに入れていく。基本的に対戦相手より早く自分のパックを落としてしまえば勝ちとなる。
 1月17日、高橋さんに会った。そしてNew tableに僕は触れてしまった。十分すぎるほどの経験がある。寡黙に、クールに反応し話をするはずだった。わくわくしていた。のっけから1ゲームすることになった。
 パックが静かに滑る……。パックがバンクに当たると、当たった正方形の一辺が眩しくフラッシュすると同時に、懐かしいピンボールのような音がした。高揚感を隠しきれない。バンクに当て2辺でクッションさせると、その2辺がフラッシュする。ポケットにパックが入ると、だだだだだBuBuBuBuだろうかDaDaDaDaだろうか、その中間のような連続音に重なって「Pocket in」と慣れた発音が聞こえる。僕はもう駄目だった。一気に身体が温まり興奮していた。
 現在のカロムのゲーム運びは勝ちを得るためにどんどん戦略的になっている。対戦相手が打ちにくいようにパックを残し、少しでも展開が有利になるように盤上のパックをストライカーで弾く。その結果、パックがダイナミックに動かない。ところがNew tableはどうだ! あの音を聴きたいがために弾いてしまう。
 カロムの魅力のひとつは狙ったパックがイメージ通りにポケットに入った時の喜びにある。そこに音という要素が加わる。勝つための戦略より、クッションを使い思い通りにパックを落としたいという欲求が優先される。かつて南極観測の隊員たちがレクレーションとして楽しんだカロムは、必ずストライカーかパックのどちらかをワンクッションさせてからパックをポケットに入れなければならないというルールがあった。このNew tableならば、クッションも正確にとれる。競うパックの数を減らしワンクッションルールを採用すると、高度なテクニックも要求され、よりビリヤードのように楽しめるのではないか……。
 高橋さんは「卒業研究制作にあたり、何か地域のためになるようなものを残したかった。バーなどでお洒落に楽しむことができるようなものにしたい。光と音で、高揚感が湧くようにと考えた」のだという。制作期間は6ヶ月を要した。
 カロム盤の改良には様々なアイデアがあったがどれも現状を脱するものは無かった。しかし高橋さんは、カロムに光と音という要素を加えて全く新しいゲームに作り替えてしまった。結合というイノベーションである。
 残念だったのは、はストライカーとパックが木製の旧来のものであり、近未来を予感させるNew tableの雰囲気を損ねているように感じた。
 そして、光の演出効果を得るためには環境光を落とさなければならない。ある程度暗いところでゲームをすることになる。十分とった年のせいもあるだろうが、パックが見えにくいのだ。
 しかし、このNew tableは掛け値なしでスタイリッシュである。高橋さんが想い描いたようにバーにNew tableがデビューする日も近いのではないだろうか。

小太郎

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