秋のゴーストツアーは「釣狐」

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 米原市 2012年10月19日更新

『目に見えないモノを見ることができるかもしれない旅をしませんか』と、誘われた秋の彦根ゴーストツアーは「白い狐の章」。勝楽寺で狂言『釣狐』を観るツアーだった。
 甲良町にある古刹・勝楽寺は、「婆娑羅(いかなる権威にもとらわれない自由奔放な思想)」の典型として語られることの多い佐々木道誉(1296~1373)の菩提寺だ。道誉は、坂田郡山東町(現米原市)に生まれ、41歳の時、甲良町に移り住み勝楽寺城を築いた。茶道、華道、能楽、連歌などを極め、能楽や狂言の保護と育成に力をそそいだ文化人でもあった。
 勝楽寺城趾は、ハイキングコースが整備されている(往復約2時間)。勝楽寺から20分ばかり歩いたところに「狐塚」があり、人間に化けた白狐の話が伝わっている。
『むかし、勝楽寺に璞蔵主(ハクゾウス)という住職がいた。その弟の金左衛門が狩りで動物を殺していることに心を痛めていた住職は、日々、弟に命の尊さを説いていたが、金左衛門はそれを聞き入れようとしなかった。ある日、住職が留守のときに一匹の白狐が璞蔵主に化けて、「殺生をすると罰が当たるぞ」と金左衛門を叱った。しかし、正体を見破った金左衛門は、白狐を柱につるして殺してしまう。後にそのことを知った璞蔵主は弟を諭し、反省した金左衛門は、以来狩りをやめ、正楽寺山中に塚を立てて白狐を長くとむらったという。』
 この話を元に狂言の『釣狐』が生まれたと伝わる。
 狂言の世界では、「猿に始まり狐で終わる」といわれ、『釣狐』は、狂言の修業の総仕上げの意味を持ち、最高の演技を要する曲となっている。
 ゴーストツアーでは、勝楽寺本堂で、大蔵流狂言茂山千五郎家茂山正邦師の『釣狐』が演じられることになっている。淡海妖怪学波としては、妖怪ハクゾウスの故郷で演じられる『釣狐』なので、どうしても観ておきたいところである。
 気になるのは『釣狐』という題名である。昔から狐は狩るのではなく罠を仕掛けて「釣る」らしい。餌は豆腐の油揚げではなく、鼠の油揚げだ。
 「白い狐の章」……、記憶の片隅にハクゾウスの姿を捕らえることができるだろうか、或いは、気配。気を配ることだということを忘れなければ、上手くいくかもしれない。

 

彦根ゴーストツアー「白い狐の章」

1泊2日旅行代金(お一人様) ¥23,000 (税込)
2012年11月10日〜11月11日
*一泊・4食付き/*10日 昼・夕 *11日 朝・昼
参加者20名募集・最少催行人員15名
日帰りプランが催行されない場合は、1泊2日プランも催行されません。

日帰り旅行代金(お一人様) ¥8,000 (税込)
2012年11月10日
*昼食付き/*10日 昼
参加者20名募集・最少催行人員15名
1泊2日プランが催行されない場合は、日帰りプランも催行されません。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

小太郎

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