かつての道草

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2012年2月13日更新

 骨が冷えるほど寒い日に、茫然と濠端にいたらしい……。ほんの数分だったと思うが、僕にも雪が積もっていた。こんな速度で積もる雪に驚いた。この驚きが嬉しく、そして、怖くなった。雪に魅せられてはいけない。雪女に出会うのは多分こういうことなのだろう。ふわりと降る雪も美しいが、この間の雪は僕にはどうも特別だったように思う。
 かつて僕は道草の天才と呼ばれた。最近では「かつての道草」は失われ、何が道草なのかも解らなくなった。実際、道草というのは、道草をしている本人は道草だとそれに気づいていないものだ。骨が冷えるほど寒い日、我を忘れた一瞬が道草だったのだろう。
 これは夢だと知りながら夢を見ていることがあるのと同じように、自覚的な道草がある。道草はしようと思ってできるものではなく、自覚的道草は、道草の途上で初めてそれとわかるのである。
 僕が今、道草をしたいと望んでいるにも関わらず道草をすることができないでいる理由…。
 時間が無かったりするからできないのではない。まして大人になったからでもない。雪が降り積もるほど美しい世界を見る能力が閉ざされているということなのだ。

小太郎

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