竹林整備
少し涼しくなった。夏が始まる頃、竹林整備に誘われて、月に一度は朝早くから出かけている。僕の場合、朝早くからというのではなく、徹夜明けのどんよりした心と身体をシャワーで清めて出かける。つなぎを着て長靴を履きタオルを首に巻いて、ノコギリを持ち、さぞ役にたちそうな姿で車に乗り目的地まで行く。実際はあまり役に立たない。今では、剪定ばさみを手に入れ、地下足袋を履いて姿カタチだけは整って来たが相変わらずのペースである。それでも、鬱蒼とした竹林は、僕の働きに関係なく目に見えて美しくなっていく。
驚くほど汗をかく。文字通り滝のように流れる。冷や汗ばかりかくことが多いので、こういう汗は気持ちがいい。
竹林整備は辛い。体力の消耗と、筋肉痛、回復しない疲労……。それでも続けることができるのは、整備の目的とは関係なく、達成感と爽快感にある。そして集中……。竹林の中では余計なこと考える暇が無い。ただ、理想の竹林のイメージだけがある。
9月も2度出かけた。おかげで旅もできないが、不満はない。次回、出かける時までにナタを買おうと思っている。こうして、姿だけは一人前になっていく。良い仕事には良い道具とそれなりのファッションがあるのである。一年もすれば僕は竹林整備のプロとしてデビューできるかもしれない。
【小太郎】