花の名前

多賀・野鳥の森植物観察会

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 多賀町 2009年9月14日更新

多賀「里の駅」一圓屋敷

 眩しい夏が終わる頃、多賀町一円の野鳥の森を歩いた。芹川ダム(一円ダム)の周囲を小一時間、ミンミン蝉と法師蝉が鳴いていた。太陽の角度のせいだろうか……、木々の葉を通り抜け落ちてくる光は橙色のスクリーンを通ってきたみたいだった。
 植物観察の指導員は中川信子さん。「多賀の花の観察会」や「彦根城オニバスプロジェクト」などで活動されている。
 僕が参加した目的は「花の名前」。立派な植物音痴なのだ。クッツキムシは全部クッツキムシで、野の花には滅法弱い。「あれが、ゲンノショウコ。江戸時代から民間薬として用いられてるやつ」「これは、ヒヨドリジョウゴ」と、フツーに話すことができたら……、下心もあった。

ヌスビトハギ

センニンソウ

 ヤブミョウガ、ヌスビトハギ、アレチヌスビトハギ、センニンソウ、ミズタマソウ……、それからダイコンソウ、ママコノシリヌグイ。もっと多くの名前を聞いたけれど、思い出せるのはこんなものだ。多分、違った場所で同じ植物を見たとしても名前を言い当てることは難しいかもしれない。
 一番の収穫は秋の七草。「おすきなふくは(お好きな服は)」と呟くと覚えやすい。「お→オミナエシ」「す→ススキ」「き→キキョウ」「な→ナデシコ」「ふ→フジバカマ」「く→クズ」「は→ハギ」となる。実は、帰ってから、デジタルカメラの映像で復習をした。真価はこれから発揮されることになる。
 僕がこの野鳥の森植物観察会を選んで参加したのは、多賀「里の駅」一圓屋敷の「試食会」にある。多賀のお母さん方が地元の食材で作ってくださる昼食を食べることができるのだ(500円)。9月5日は、夏野菜の天ぷらと鹿肉がメインだった。
 ちなみに、一圓屋敷は、築150年の大庄屋屋敷で、多賀クラブ(多賀を元気にする有志の会)とNPO法人彦根景観フォーラムが中心となって、まちづくりの拠点として様々な取り組みをしている。その活動のひとつが、毎月第1土曜日の朝に行われている「植物観察会」「野菜市」「集い(談話と試食会)」なのだ。
 この日の「集い」では、多賀町の小学校に約39年間勤めた管理栄養士の滝喜代子さんが、地場産物を使った給食を通して、食文化の大切さを話された。
「新鮮な地場産物を味わうことで、自然に恵まれた郷土への愛情が育まれる」。
滝さんの言葉が印象的だった。
 指導員の中川さんも滝さんの給食を食べて育ったという。「滝さんの給食で、私も植物好きになったのかもしれません」と話された。
 多賀「里の駅」一圓屋敷の植物観察と試食会……。
1ヶ月で驚くほど様変わりする自然の営みや、空気の温度や光の具合で体内時計を修正し、本当の食べ物の旬を味わうことができる。深夜型人間の僕には毎月1回参加するというのは難しいと思っているが、その難しさを「花の名前」と「試食会」で乗り越えられるかもしれない。

多賀「里の駅」

滋賀県多賀町一円149番地

多賀「里の駅」《野菜市&集い》
毎月第1土曜日:野菜市 午前9時〜12時 /【集い】お話と試食会 午前10時30分〜12時・試食会参加の場合、10時30分までに会場で名前を記入(参加料1人500円)/ 野鳥の森植物観察会 9時〜10時15分

多賀クラブメンバー募集中
興味のある方はお問い合わせください
TEL: 090-8791-4470(中川信子)

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

小太郎

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