古橋のオオサンショウウオを守る会

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2017年9月29日更新

 9月10日、長浜市木之本町古橋で「今年もオオサンショウウオに会いたいなぁ! 第4回古橋の大谷川の生き物調べ」と言う長いタイトルのイベントが行われた。会場となった同市立高時小学校には、魚をすくう網やバケツを手にした親子や長浜バイオ大の学生など約100人が集まり、まずオオサンショウウオの生態や活動経過に耳を傾けた。
 オオサンショウウオは国の特別天然記念物に指定された世界最大級の両生類で、2300万年前からその姿を変えず、大きなものでは体長は150㎝、体重は40㎏を超えるものが確認されている。大きな口につぶらな目、4本の指を持つ前足と、5本指の後足、水族館などでは「きもかわいい」と人気だそうだ。
 古橋の集落内を流れる大谷川でオオサンショウウオが発見されたのは2002年のこと。住民への聞き取り調査では「道を歩いていた」、「田んぼで見かけた」などの目撃情報も数多く聞かれた。
 当時、大谷川上流で砂防ダムの建設計画があり、県などによる生態調査が行われると50体以上が確認された。珍しい生き物なので乱獲に配慮し、住民有志がひっそりと保護や生息環境の保全に努めてきたが、広く保全を呼びかけたいと2010年に「古橋のオオサンショウウオを守る会」を結成し、生息地であることを公表するようになった。高時小では4年生がオオサンショウウオについて学ぶ機会を設け、子どもたちの環境保全への意識を高める活動も継続中だ。
 この日は同会会長の大山考一さんが、大谷川の改修工事により魚道が完成したことも伝え、「魚道の一部に、オオサンショウウオさんのすみかもあります。オオサンショウウオさんは夜行性で、夜に巣穴から出かけ、今朝午前5時45分に帰ってきたと、近くの人が確認してくれました」と、隣人を気遣うようにオオサンショウウオに向き合う話を披露した。
 その後、レクチャーを受けた参加者は大谷川へ向かい、川に入って生き物の捕獲に精を出した。もちろん、オオサンショウウオを捕まえたいと思ってのことではなく、オオサンショウウオが棲む川の生き物を調べるのが目的だ。再び高時小に戻った参加者は採取場所ごとに獲物を分類。川には清流に棲むといわれるアマゴのほか、サワガニやカワムツ、アユ、アブラハヤなど数多くの生物も生息し、オオサンショウウオが豊富な餌に恵まれていること、すべてが美しい水環境のおかげと教わった。最後は、「ぜひ、見て欲しい」と、先月の台風による大谷川の増水で下流に流され上流に戻すため保護していたオオサンショウウオも登場し、参加者は間近で観察できたと大喜びだった。
 同会は大山会長と山内新一さん、熊井時男さんの3人がメンバーで、専門家やバイオ大の協力を得ながら活動。見つけたオオサンショウウオにはマイクロチップを埋め込むなどして生息状況を見守り続けてきた。この日も夜にバイオ大生と夜間調査を実施するなど、地道な活動が続いている。メンバーが「労をいとわない」のは古橋を愛する気持ちが一番にあるから。暖かい住民の思いが、オオサンショウウオの棲み心地の良さに通じているに違いない。

古橋での活動を受け、広く滋賀県内でのオオサンショウウオの生息状況の把握や保護も行おうと、今年7月に「滋賀のオオサンショウウオを守る会」が設立された。同会では会員や活動を応援したい人を募集中。会員になると、2017年10月28日開催予定の古橋での夜間調査に参加できる。

お問い合わせ

https://shigaoosannmamorukai.jimdo.com
FAX: 0740-33-7793

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

光流

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