ソラミミ堂

淡海宇宙誌 I めぐみをめぐりあわせる

このエントリーをはてなブックマークに追加 2010年5月20日更新

 僕は、地域の文化というのは、ある土地に生きる人々が、そこにあるいろいろなめぐみをめぐりあわせてつくったものだと思います。
 地域にあるめぐみというのは、まず第一に「自然のめぐみ」です。
 土や木や石や水や草花、魚や動物や虫、雨や風、山や川や海、そうした、無数にある自然のめぐみについて、その特徴や性質をよく観察し、「これとこれとを組み合わせたら、もっとよくなるぞ」と考え、工夫に工夫を重ねていろいろな文化が出来上がってきたのだと思います。
 地域のめぐみの第二番目は「時間のめぐみ」だと思います。「歴史のめぐみ」と言ってもいい。
 時間は人をゆっくり育ててくれます。物をだんだん美しく、大事なものにしてくれます。
 地域のめぐみの第三番目は「人のめぐみ」だと思います。
 地域にはほんとうにさまざまな人がいます。地域に生きる誰もがみんないろいろな個性や才能を持っています。かわいらしい赤ん坊、好奇心いっぱいの子供たち、体力みなぎる青年、リーダーシップのあるおじさん、包容力のあるおばさん、知恵のあふれたお年より、この人たちがめぐりあって、思いもかけない出来事がうまれます。一人ではとてもできないことでも、いろいろな人が協力するとうまくいきます。
 自然のめぐみ、歴史のめぐみ、人のめぐみ。僕ら人間には、かけがえのないめぐみがあたえられている。それで僕らは、それらめぐみをめぐりあわせてさまざま豊かな文化をつくりだす。
 そしてじつは、そうしためぐみのめぐりあわせを実現させる「めぐみのなかのめぐみ」を、僕らは、じぶんのなかに持っている。
 それは僕らの「想像力」というめぐみです。

『近江八坂図』2009年・岡村康臣 画・八坂町老人クラブ 語り・上田洋平 監修

 

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