寅年の虎神殿

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 虎姫町 2010年1月13日更新

虎姫駅前の「虎神殿」

 今年は寅年。虎つながりの縁起にあやかろうと阪神タイガースグッズの売れ行きが好調らしい。虎姫駅前には、阪神タイガース勝利の神、「虎神殿」があり、県外のバスツアーも組まれ、ファンが参拝するという。
 虎神殿の誕生は1993年に遡る。阪神タイガースがリーグ優勝を争っていた頃、虎姫でも何か応援できないかと地元有志が香川から特大の張り子の虎を取り寄せ、鎮座させた。その年、阪神は見事リーグ優勝。以来、全国で唯一「虎」のつく市町村であり、「虎」と「姫」の文字から、阪神の勝利の女神としてその名が知られるようになった。
 昨年末、虎神殿を改装し、寅の日、寅の刻におつとめが行われ、新たなご神体に虎明神と名づけた毘沙門天をお迎えした。毘沙門天は虎を神使とし、戦勝の武神、開運出世の神で、上杉謙信が毘沙門天を信仰したのはよく知られた話だ。また、財宝金銭授与、商売繁盛の功徳があるともいわれている。毘沙門天の両脇には、阿吽の狛犬ならぬ、阿吽の虎。吽の虎は野球ボールを咥えている。神殿の前で手を合わせる。野球のことはさっぱりだから、今年も健やかに過ごせますようにとお願いする。私は吽の虎がお気に入りだ。
 「虎神殿を設けて以来、阪神の必勝祈願だけではなく、様々なお願い事をされる方が増えました。それだけ神殿が親しまれるようになったということでしょう。せっかくの寅年ですから虎姫なりのおもてなしができればと思ってます。おかげで商売はほったらかしですが……」。
多賀冨美男さんは笑う。多賀さんは虎神殿を設けた有志のひとりだ。地元で食料品店を営んでいる。外観は勿論、黄色と黒のストライプの阪神カラー。多賀さんは虎神殿設立をきっかけに猛烈な阪神ファンになってしまったのだ。店内の一角は阪神グッズで埋め尽くされ、有志で作った「虎せんべい」、「姫せんべい」も並び、虎姫を訪れたファンの交流拠点になっている。

昨年末、新たに虎明神が祀られた

 虎姫という名についてはこんな言い伝えがある。
——昔、長尾山という山のふもとの、井筒という泉のほとりに美しい娘が住んでいた。娘は世々聞(せせらぎ)という名の若者と出会い、結婚、虎御前と呼ばれ幸せに暮らしていた。しかし2人のあいだに産まれた15人の子どもは、顔以外は鱗に覆われていた。虎御前は嘆き悲しんだ末に、淵に身を投げて命を落とす。残された世々聞は悲しみながらも、どの子も立派に育て上げた。不思議なことに子どもは成長するにつれて人間と変わらぬ姿になり、付近の村々を治めるようになったという。その頃から、長尾山は虎御前山と呼ばれるようになり、この辺りを虎姫と呼ぶようになった——。
 神殿のそばには虎御前をかたどった顔出し看板がある。市町村合併で虎姫町は長浜市となり、「虎姫」の町名は失われたが、虎神殿を訪れる人々は、その由来を知り未来永劫、「虎」「姫」を思い返すに違いない。

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