妖怪と波うさぎ!

長浜・平方天満宮

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2013年2月1日更新

 過日、『長浜み〜な』編集長の小西光代さんにお会いしたとき「知ってると思いますが、大仏さんの近くに、波うさぎがありました」という話を聞いた。「大仏さん」は長浜びわこ大仏、「近くに」は平方天満宮、「波うさぎ」は、僕がずっと探し求めている竹生島文様のことだ。僕は知らなかった……。ところがである。既に、平方天満宮の記事は二度も掲載していた。僕のなかでは「波うさぎ」と繋がらなかったのである。過去の記事は、淡海妖怪学波として取り上げた「目検枷(メタテカイ)」という名の犬のこと。もう一つは、メタテカイの霊を祀った犬塚の話である。二つを極簡単にまとめると次のような話になる。

 昔、琵琶湖に怪物が現れ、毎年、人身御供を差し出す習わしがあった。湖岸の水面から現れるこの怪物を退治したのが目検枷である。ただ、目検枷も大きな傷を負い相討ちとなった。死をもって怪物を退治した目検枷に感謝し、その霊を祀ったのが犬塚である。
 かつて、目検枷を祀った犬上(神)明神だったが江戸時代加賀藩主・前田候が通行の際、藩主のすすめで天満宮と改め、菅原道真公を奉る神社となった。現在も社の奥に犬塚はあり、目検枷の鋭い牙にちなんで、この犬塚の石に触れた手で歯の痛むところや身体の痛むところを撫でると不思議と痛みが止まるといわれている。
 気になるのは怪物の正体だが、犬塚の横の解説には「カワタロウ」と記されている。カワタロウは河童の異名だ。
 ところで、室町時代の説話集『三国伝記』に「比良片目検迦ト云フ犬ノ子ニ小白丸トテ秘蔵ノ狗」と記されているらしく、「比良片」とは「平方」であり、「小白丸」とは、犬上郡多賀町の大瀧神社に伝わる稲依別王の話に出てくる犬の名である。(淡海の妖怪 カワコモチ

 淡海妖怪学波としては、長浜の目検枷の子が犬上郡多賀町の小白丸であり、共に、水辺の妖怪と闘い祀られているところが面白く、更に深く調べてみたいと思っている。僕らにとって平方天満宮はそういうところだった。
 ここからが……、ところがである。「波うさぎ」があるというのだ。実際、波はなかったのだが、天満宮の社の四方の屋根にうさぎの瓦が乗っている。東近江市の垣見天神社も菅原道真公を奉る神社で、ここにも波うさぎが四方にあった。菅原道真公とうさぎは何か関係があるのだろうか……。 相変わらず解決の糸口もない疑問符ばかりだが、平方天幡宮は忘れさえしなければ何時か解けるかもしれない、わくわくする謎が二つもある神社だった

平方天満宮

滋賀県長浜市平方町

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

小太郎

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