歯痛に効くらしい!? 平方天満宮の犬塚

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 2009年5月24日更新

平方天満宮

 さわやかな天気が続いて気分がいい。こんな日は自転車にまたがり、行く先を決めずに走るのがお気に入りだ。
 琵琶湖岸にほど近い「平方天満宮」という神社を見つけた。「犬塚はこの奥」と看板が立っている。静まりかえった境内に、看板の文字がひときわ目立つ。犬塚は本殿のそば、柵に囲われてひっそりとあった。
 犬塚にまつわるエピソードが神社創建の由来となっている。
 現在の祭神は菅原道真公。しかしもともとは「目検枷(めたてかい)」という犬を祀った犬神明神だったというのである。不思議な名をもつ犬については、こんな伝説が残されている。
 昔、琵琶湖に怪物が現れ、毎年、人身御供(ひとみごくう)を差し出す習わしがあった。

本殿のそばの犬塚

 あるとき、男がその正体をひそかに見たところ、湖岸の水面から現れた怪物は「メッキに言うなよ。平方のメッキに言うなよ」とつぶやきながらやってきた。メッキというのが、この地の長者の愛犬、目検枷のことだった。そこで翌年、怪物退治に目検枷を借り出した。目検枷は果敢に戦い、とうとう怪物を倒したのだが、目検枷も大きな傷を負い相討ちとなった。
 死をもって怪物を退治した目検枷に感謝し、その霊を祀ったのが犬塚である。怪物の正体はカワウソであると言われている。
 かつてこの一帯は漁港であったことから、荒れた湖の恐ろしさ、水への畏怖がカワウソの姿をかりた化け物を生み出したと考えることができるだろう。しかし、怪物がつぶやいた「メッキ」という言葉が、なぜ目検枷につながるのか……、神社創建のエピソードには語られていない。
 目検枷の鋭い牙にちなんで、この犬塚に触れた手で歯の痛むところをなでると、痛みが止まるそうだ。
 そういえば、ムシ(64)歯にちなんで、6月4〜10日は歯の衛生週間だったりする。歯痛を気にしているものの、歯医者さんは苦手という人は少なくない。歯医者さんに行く前に、「痛くないように」まず目検枷のご利益を…なんて考えている。

平方天満宮

滋賀県長浜市平方町
湖岸道路より1本中の道のワボウ電子の裏手辺り。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

青緑

DADA Journal 内の関連記事
スポンサーリンク
関連キーワード