一杯のラーメンに命を賭ける

ラーメン笑福

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2012年6月27日更新

代表の神野圭司さん

 化学調味料を使用しないことをラーメン業界では「無化調」と呼ぶらしい。
 その無化調に挑み続けているのが、長浜バイオ大学前にあるラーメン笑福だ。先日の第2回彦根ラーメングランプリでは「無添加とんこつラーメン」が実行委員長特別賞を受賞、同業者からも「無化調でここまでの味が引き出せるとは」と、驚きの声が上がった。
 ラーメン笑福は、以前、湖北みずどりステーションで営業していて、実はDADA456で取材をさせていただいた。2009年に長浜バイオ大学の前に移転し、その間にメニューも大幅に変更になった。きっかけは昨年の東日本大震災だ。
 「震災でたくさんの方が亡くなって、何ができるか考えたときに、残された人々に安全で安心な食を提供するのが一番の使命だと感じました」と代表の神野(かみの)圭司さん(34)は振り返る。その後、四国・九州に修業の旅に出かけ、試行錯誤の結果、化学調味料をいっさい使わない独自のスープを作り上げた。

第2回彦根ラーメングランプリで実行委員長特別賞を受賞した「豚骨」

 僕が注文したのは、ラーメングランプリでの受賞を期にレギュラーメニューとなった「豚骨」。10〜12時間ほど煮込んだというスープは、とろっとしていて一見脂っこそうに見えるが意外とあっさり、そして実にまろやかだった。麺は中細で加水率低めのストレート。笑福オリジナルの配合で製麺所に発注しているのだという。茹で具合も絶妙で、あっという間に麺を平らげてスープの最後の一滴まで飲み干していた……。スープを全部飲んでも胸焼けしないのに驚いた。さすが、無化調のなせる技なのだろう。
 「一人の人間として、まっとうなものをお客さんに届けたい。商人である前に、まず職人でありたい」と話す神野さん。「ただラーメンを売っているのではなく、ラーメンを通して人に語りかけたい。伝えたい。そのために、一杯のラーメンに命を賭けているんです」。
 ラーメンの職人は、これからも無化調という高いハードルに挑み続ける。

ラーメン笑福

滋賀県長浜市田村町1389-1 / TEL: 0749-62-1333
営業時間 11:00〜15:00 / 17:00〜21:00

ラーメンは、豚骨700円、笑福新味680円、塩680円。プラス300円で餃子セットも。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

編集部

DADA Journal 内の関連記事
スポンサーリンク
関連キーワード