手に触れて育つ木のアクセサリー
アクセサリークリエーター 山田浩久さん
木で作られた赤や紫、黄色など色とりどりのアクセサリー。それらが着色しているのではなく、木そのものの色であると聞いて驚いた。彩り豊かでかつ落ち着きのある雰囲気はとても魅力的だ。
長浜市安養寺町に10年前、京都から移り住んだアクセサリークリエーター山田浩久さん。世界中の色や模様に特徴のある希少な銘木約30種を使い、着色やコーティングなどをしない作品を作っている。コーティングされていない無垢の木は、人の手に触れられるほど艶を増し、時間とともに持ち主に馴染むように育っていく。長年山田さんの作品のファンである妻・清美さんは「ついつい触ってしまいたくなるアクセサリーなんです」と話す。長年愛用しているという黒檀のストラップは永い時を経て黒く光り、なめらかで温もりのある質感に育っていた。
山田さんは京都で10年間、サンドブラスト総合プロジェクトの技術士として働いていた。サンドブラストとは砂を吹き付けて素材を削る技術のこと。これまで金属やガラスなど様々な素材の特徴を把握しながら扱ってきたからこそ、木という素材の難しさに「実は木は一番苦手な素材でした」と語る。
そんな山田さんが木でアクセサリーを作るきっかけとなったのは趣味の釣りで使うルアーづくりだった。小刀1本で削り出したルアーは、おもわず魚が食いついてしまうほど見事な出来だった。そしてそれを見た人がアクセサリーづくりをすすめてくれたのだそうだ。
小さくてカラフルなキューブを組み合わせたイヤリング、様々な色の木をつなぎ合わせて作ったカフスボタン、細かなところまで再現した楽器のブローチ……革や金属などの素材を組みあわせ木の良さを引き出した作品の数々は、素朴で細やかで、品の良さの漂うものばかり。女性に限らず男性にも愛されているという。
若い頃はデザイナーを志していた山田さん。自身はとてもシンプルな出で立ちでアクセサリーとは無縁とのことで、デザインはお客さんのオーダーや使う人のことを想像して行うのだそうだ。「アクセサリーはこれという決まりや正解がなく幅も広いので、デザインやコンセプトを1から自分で出来て楽しいです」と山田さんは話す。
長浜に移住して10年。これまでは名古屋や岡山など他県で作品を展示販売することが多かったが、改めて今、長浜の地から自分の作品を発信していきたいという思いが強くなってきたそうだ。最近は作品制作だけでなく、木のキューブを使ったイヤリングづくりのワークショップも始め、長浜で展示やワークショップが出来たらと思案中だそうだ。山田さんの作品を長浜のお店で見ることの出来る日も近いとのことなので、見かけた時にはぜひじっくり手にとって見てもらいたいと思う。
お問い合せ
山田浩久さん TEL: 0749-72-5112
店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。
【れん】