雨の中で手を振ってくれた

小島誠司さん

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2010年3月31日更新

NPO法人 小江戸彦根が運営する屋形船「〜ゆらっと遊覧〜彦根城お堀めぐり」

 花の生長を促す「催花雨(さいかう)」、そう思えば幾分納得もできる。冷たい雨が降っていた。今年の春は雨が多い……。
 彦根城の内堀をめぐる屋形船がある。雨が降るのもかまわず、手を振る船頭さんがいる。屋形船を運営するNPO法人小江戸彦根の副理事長を努める小島誠司さんだった。家業は料亭小島の板場に立つ調理人だ。幾つかのイベントで一緒になったことがある。「豆右衛門会議」では「SESSHI cllection」と題して、郷土人形の企画展示を行った。こんな具合だ。「『秘すれば花』(世阿弥)、『月も雲間なきは嫌にて候』(村田珠光)、そして谷崎潤一郎の『陰翳禮讃』に至るまで古来日本人は明朗で快活な美を愛する一方、秘めたるもの、心の襞に潜むものにより深みのある美を見出してきた。子宝祈願や安産を願い祀られた郷土玩具には豊穣というテーマにふさわしい開放的で豊かな造形が見られる。淫靡さや猥褻さを突き抜けることによって『笑い』に昇華させた世界がある。これもまたもうひとつの『陰の美』と言える」。R18の郷土人形展だった。

小島誠司さん

 今も、ひこね市文化プラザが主催する「歴史手習塾」という連続セミナーの企画会議で月に一度はお会いする。小島さんは、実に様々なことに、深い知識を有している。マニアックというのでもない。大抵、僕らがマニアックに知っているコトやモノに対して、それ以上のことを何処かからフツーに持ち出し、フツーに話す。戦国・江戸など歴史関係、近江のことになるとすごい。「眼福にあずかり、ありがとうございました」などと古風だったりする。
 「手習塾」はというと、「江戸情緒を残す歴史文化都市彦根で、最新の研究による戦国・江戸の歴史を学んでいただくセミナーです。セミナーの切り口も新鮮だと思っています。歴史に興味を持つきっかけになればいいですね。歴史というか何でもそうですが、深く知れば知るほど、面白くなってきます。今回のセミナーもきっと、僕らが持っている江戸時代のイメージが一変すると思います」と小島さんは話す。4月9日から3セミナー9講座が行われる予定だ(他に、オプショナルセミナーとして山崎山城フィールドワークが予定されている)。
 「ああ、それから桜の花が咲いたら、もう一度豆右衛門会議で集まりませんか?新しい型の屋形船を運航しているのですが、屋根が外れるように設計しましたから、気持ちいいですよ。特別にいろいろ設えて……」、雨のなか手を振っていたのは、これを伝えたかったのだ。春爛漫、屋形船、散る花びら……、ゆらゆらと温かくて眠ってしまいそうだ。

〜ゆらっと遊覧〜彦根城お堀めぐり

NPO法人 小江戸彦根
滋賀県彦根市金亀町7-5(ひこね市民活動センター内)
TEL: 080-1461-4123 / FAX: 0749-26-4868

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

小太郎

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