2011 湖東・湖北 波うさぎ再び
波兎
実は、『波うさぎ』文様コレクターである。古くから人気のある文様で家紋や陶磁器によく使われている。前回の誌面で少し触れられていたが、『波うさぎ』の文様は別名『竹生島文様』と呼ばれ、その名は謡曲『竹生島』の
緑樹影沈んで
魚木に登る気色あり
月海上に浮かんでは
兎も波を奔るか
面白の島の景色や
に由来する。ならば、琵琶湖発祥ではないか!と寺社や建造物などの意匠をコレクションしてきた。
例えば、『波うさぎ(竹生島文様)』は、屋根にある。写真は、五個荘金堂町の民家の波うさぎと、東近江市の垣見天神社(佐野町)のそれだ。表現は違うがどちらもキュートな姿である。大抵の場合、対であり、五個荘の民家のものも、もう一ヶ所に存在していると推測している。また、謡曲『竹生島』から判るように「月」も文様のデザインとして大切な要素になる。
この文様……、『稲葉の素兎』や『近江高天原説』にも関係することなど、往年の読者の方々はご存知のことと思うが、実に興味深いのである。
2011年、卯年が廻り「湖東・湖北 波うさぎ再び」というわけである。とりあえず、今回は2種を紹介したが、機会があればコレクションを披露させていただきたいと思っている。
【風伯】