山内さんの 愛おしいもの・コト・昔語り 番外編「山内さんの本」
日本には古くから伝えられてきた文化や風習があります。
それは日本人の心の中に生き続けてきた貴重な財産です。
それが近年、急速に忘れ去られようとしています。
私は先人の〝知恵〟や〝想い〟が埋もれてしまうのをしのびなく思い、私の人生で経験し、心の糧として大切にしてきたことなど、記憶を掘り起こして、お話ししました。
山内喜平
ご縁があって、長浜市木之本町古橋にお住まいの山内喜平さん(94)和子さん(93)ご夫妻にお会いしてお話を聞き色々教わっている。ふと耳にする山内さんのお話が面白い。今回は山内さんの本。
2018年1月から2021年1月までの3年間にわたって「山内さんの愛おしいもの・コト・昔語り」と題した連載を書かせていただき、連載の最終回は「また機会があれば」と結びの言葉を記したが、半年後にその機会が巡ってきた。
連載が2年目を過ぎたころ、喜平さんは「本にはまとめへんのか?」とお尋ねになることが何度かあった。編集を生業にしている友人に「本にするにはどうすればいいか?」と尋ねると、「本の体裁を整えるには200ページほどないと……」と返事が返ってきた。厚みが必要ということだ。連載は30回以上必要ということになりそうで、3年になる2020年12月までは続けたいと伝えた。
その後も、喜平さんは「(連載を)いつまで続ける?」と何度かお尋ねになった。
ご高齢でもあり、ご負担になっているのではと心苦しく思いつつも、やっぱり喜平さん、和子さんとお話するのが楽しくて、最終回にしようと約束した2020年12月を通り越して、今年1月までお話を聞かせていただいたのだった。最終回は原稿を書いていてもさみしく、もう喜平さん家(ち)にお邪魔することはできないのかな……とぼんやり思ったりもした。
本の出版日は喜平さんのお誕生日6月2日と決め、本の制作を始めた。結果、喜平さんのお誕生日には間に合わなかったが、6月末に連載と同じタイトルの『山内さんの愛おしいもの・コト・昔語り』(A5判・175ページ)が完成した。本にはお二人が過去に小冊子にされた「古橋のバイ(栢)」(著者 喜平さん)、と「古い習慣・風情」(著者 和子さん)も収録した。
できあがった本をお届けした日、和子さんは巻頭の写真ページ、白黒の本文ページの写真にざーと目を通され、そこに親しい人の顔がいくつもあることを喜んでくださった。喜平さんは本をずーと長い時間読んでおられた。その時間は本当に長くて、何だか不安になり「連載した内容と殆ど同じです」と声をかけたが、返事はなかった。そうして「おーきに」と一言、言ってくださった。
本ができあがり、お話を聞かせてくださった山内さんご夫妻への感謝に加え、連載を書かせていただく場があったこと、また読者の方から頂いた感想なども大変励みになっていたので、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
山内さんご夫妻はお揃いでお元気です。本の完成を大変喜んでくださいました。今回も、〝またいつか機会があれば〟と結ばせていただくことにします。
『山内さんの愛おしいもの・コト・昔語り』
A5判175ページ 定価 1,500円(税別)
半月舎(彦根市中央町)金曜~月曜・正午~午後6時 / あいたくて書房(木之本町木之本)木曜~日曜・午前10時~午後5時 / 己高庵売店(木之本町古橋) / 高月観音の里歴史民俗資料館(高月町高月) / 伊吹山文化資料館(米原市春照)にて販売中。
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村山明子 .(JavaScript must be enabled to view this email address)
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【光流】