農家の娘が届ける大地と湖の恵

filles de la ferme

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2013年7月24日更新

 長浜駅から北國街道を南へ歩いておよそ10分。閑静な街並みの中に、古い町屋を改装したフレンチレストラン「filles de la ferme(フィーユ・ドゥ・ラ・フェルム)」がある。店内は元の建物の良さを残しつつ、木目の美しい木材で改装されており、随所に季節の花が生けられている。窓の向こうには懐かしい香りのする庭が続き、日々の喧噪が遠のいていくようである。
 店の名前はフランス語で「農家の娘たち」という意味。店主の徳田綾子さんが長浜の兼業農家で生まれ育ったことに由来するのだが、本人曰く「実は農家の娘であることがずっと嫌で、若いころは隠そうとしていました」とのこと。
 しかし高校卒業後に故郷を離れ、沖縄のダイバーズハウスに住み込みで働き始めた時、米や野菜が買わなければ手に入らない生活の中で、両親や祖父母が育てた食べ物の美味しさと、その食べ物で育ってきたことへのありがたみを感じたという。

 また料理人になるきっかけもこの沖縄で得た。ダイバーズハウスで調理を任され、自分の出す料理にお客さんが「おいしい」と言ってくれる嬉しさが、この道に進む原点になった。その後、東京・西麻布の炭火焼きフレンチレストランで4年間、ジビエや旬の食材を扱う腕を磨き、一昨年に生まれ育った土地で独立した。
 故郷に戻った今、旬の食材を活かした料理でこの土地や湖の恵を伝えたいという思いが強くなった。また、新しい食材や新しい食べ方に出会える場所にしたいと、鹿肉や猪肉といった普段食べ慣れていない食材を積極的に使い、食べ慣れている食材は新しい食べ方を楽しんでもらえるよう心を配る。取材に伺った日も、ふいにやってきた猟師の仕留めた猪肉を手にとり、さっそく翌日のランチを嬉しそうに思案する徳田さんの姿が印象的だった。

 ランチは魚又は肉のメインに、前菜が3種とパン、デザート、ドリンクのセット、夜はコースの他に、単品とお酒という楽しみ方もできる。料理を実際にいただくと、素材ひとつひとつを目でも舌でも楽しむことができ、食べているうちに幸せな気持ちになる。口の中が炭の香りと肉のうまみでいっぱいになる仔羊の炭火焼きや、豚や羊の肉と香草を使った手作りのソーセージはオススメだ。添えられる野菜もほとんどが国産で、特に叔母さんが作って届けてくれる採れたて野菜は絶品だ。それから、チーズ好きの徳田さんが取り寄せたフランスやイタリア産の様々な種類のチーズもぜひ味わって欲しい。予算や好みに合わせて一口サイズのチーズを盛り合わせてもらえるので、普段食べたことの無いチーズの出会いを楽しんでもらえればと思う。
 最近では、ワインと料理のおいしい食べ合わせを気楽な雰囲気で楽しむ「ワイン会」や、さらにそれに合う音楽も一緒に楽しむライブイベントなどを不定期で開催している。
 ぜひ一度、この店での時間を楽しんで欲しいと思う。

filles de la ferme(フィーユ ドゥ ラ フェルム)

滋賀県長浜市朝日町35-5 / TEL: 0749-65-2766
営業時間 ランチ 11:30~14:00 / ディナー 17:30~22:00(L.O. 20:30)
日曜日定休(前後が祝日の場合は日曜も18:00より営業)

「フィーユの日曜日」
毎週第二日曜日の午前11時頃から、店の前で仲間たちと共に市を開催中。ビスコッティやムラングなどの焼き菓子や、こだわり野菜などを販売する。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

れん

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