花嫁は、みんな妹みたい

アトリエ ZARA 池田久美子さん

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2012年1月24日更新

池田久美子さん

 「アトリエZARA」は、オーダーメイドのウェディングドレスを手がける小さなアトリエである。子どもの頃から洋裁が大好きだったという池田久美子さん(36)が5年前に開いた。大学時代、友人にウェディングドレスを制作したことが、ドレスづくりのきっかけだった。社会人になってからも依頼は続き、本格的に学ぶためパターンの学校に通い、結婚を機にアトリエを構えた。
 ウェディングドレスをオーダーするということについて、具体的にイメージをもっている人もいれば、漠然とレンタルではない自分だけのドレスがほしいという人もいる。例えばオードリーヘップバーンが映画で着ていたようなドレスを着たい、自然や農業が好きなので天然素材の麻をつかったドレスにしたい、一緒にドレスを縫いたい、それぞれに思いを抱いて池田さんの元へやってくる。池田さんは、希望を聞き打ち合わせを重ねたうえで、パターンをひき縫製していく……。ゴージャスなドレスはレンタルでもたくさんあるけれど、シンプルであってもディテールを大切にする。着る人らしさの表れたドレスを作りたいと池田さんは考えている。
 「例えばマーメイドタイプのドレスは背が高くて細身でないと似合わないというイメージがありますが、ウエストのラインの位置を変えることなどで、その人に似合うドレスになります。こんな具合になりますよと試着していただくことができないので、出来上がりを、どれだけイメージしてもらえるかが難しいところです」。
 池田さんはドレスだけではなく、挙式前の「前撮り」や、ブーケやヘアメイクなど全体的なコーディネートのフォローもする。
 「結婚式って、わくわくする気持ちの一方で緊張と不安も入り混じっています。何をどう進めていいかわからず途方にくれることもあるでしょ。私も経験しましたから、少しでもお役に立てればいいなと思っています。花嫁さんはみんな妹みたいに思えてきて……。このアトリエを選んでくださったのは何かの縁。そのご縁を大切に結婚式まで花嫁さんと二人三脚で歩んでいきたい。ドレスは舞台装置のひとつなんです」。
 ドレスを縫い始めるとき、池田さんには小さなルールがある。縁起の良い日を選んで、新しい針をおろす…。幸せを願う気持ちがまず込められる。アトリエZARAを訪れた時から舞台は始まっている。結婚式を終えたあとも、物語は終わらない。ドレスは舞台装置のひとつだという池田さんの真意はそこにあるのだろう……。新しい針をおろす瞬間、ウェディングドレスは「時」を刻みはじめるのだ。

 

アトリエ ZARA

滋賀県長浜市平方町620-5
TEL: 090-9869-2300(要予約)

ウェディングドレス、カクテルドレスは打ち合わせから完成まで最短で2ヶ月程度で、1着約15万円〜。ウェディングドレス以外の洋服や小物のオーダー、リフォームにも対応している。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

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