飾って楽しい、使ってうれしい Söpöのしあわせっけん

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2011年9月16日更新

石けん作家の近藤由紀子さん

 りんご、動物のシルエット、水玉、空、波、パステルの淡い色にモチーフが浮かぶ。スタンプや消しゴムのようにも、おいしそうなお菓子にも見えたり……、実は、みな石けんなのだ。
 長浜市に住む近藤由紀子さん(34)は、石けん作家である。「Söpö」というウェブサイトで手づくり石けんを公開、販売している。
 ものづくりや雑貨が好きだった近藤さんは、昔、石けんを作る人に密着するテレビ番組を観たとき、「白い四角いもの」だった石けんの固定観念が崩れ、雑貨のようなかわいい石けんを作ってみようと思ったのだという。
 「初めて石けんを作って、実際に使ってみたとき、無添加な分溶けやすいけれど、優しい泡を肌で感じました。何より市販品にはない自然のいい匂いに、こんなにも癒されることがあるのかと驚いて、アロマにも興味をもつきっかけになりました」

 石けんの基本成分はオイルと苛性ソーダ水。オリーブオイル、胡麻油、パーム油……、オイルの種類や量によって苛性ソーダ水の配合量が変わり、効能もまた違ってくる。混ぜて枠に入れて固め、1ヶ月以上熟成させ完成させる。
 近藤さんの石けんは四季を意識したものや自然をモチーフにしたデザインが多い。竹炭やハーブの抽出色、天然クレイなどの色味を使い分け、そのときどきの気持ちを石けんに込めていく。
 見せていただいたレシピノートには、細かな字で材料の配合成分比率などが書き込まれていた。苛性ソーダ水は配合量が1gでも違うと石けんの性質が変わる。そこには無限の組み合わせと可能性があった。
 また石けんを枠に流し込むときはカステラ状なので、うまく色のバランスをとらないと思い描いたデザインが生まれない。何より石けんづくりは高温多湿を嫌う。空調を、配合を、デザインを細かに調整しながらの製造は、根気が必要だ。
 「自分が選んだかわいい石けんが洗面所やお風呂場にあるだけで、気持ちを華やかにしてくれるんです。単に香りがいい、デザインがいいというのではなく、石けんを手にとってくれた人の日々の暮らしに、ちょっと楽しみが生まれればいいなと思っています。私が目指すのは『しあわせっけん』なんです」
 近藤さんの一番のお気に入りは「お花畑」という石けんだという。小ぶりの花が連なっている。「これまでに100種以上の石けんを作ってきました。どこかの風景でお花畑を見て、『きれいやな』と感じた気持ちを大事にしたいと思って作ったものです。石けんを作ることで、満たされ、癒されているのは私自身でもあるんですね」。
 私の手元にもSöpöの石けんがある。使うのには惜しくて、まだ机の上に飾ったまま。『しあわせっけん』を感じている。

手づくり石けんの店 Söpö

石けん400円程度〜。夏季は湿度・温度が高く製造に向かないため、在庫が不足する場合があります。
*薬事法上、化粧石けんではなく雑貨石けん(身体につかわない石けん)として販売しています。購入の際には、ご自身の責任の範囲内でお使いください。
http://sopokukka.cart.fc2.com/

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

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