ガラス工芸と歩むセカンドライフ

ガラス工房 宙 坪井柾さん

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2010年4月27日更新

ガラス工房 宙

 セカンドライフという言葉がある。勤めを退職した後の新たな人生を意味しているようだ。好きが高じて、セカンドライフをガラス工芸と共に歩み始めた坪井柾さんにお会いした。定年退職した昨年、「ガラス工房 宙」を設立し、吹きガラスの教室を開いている。吹きガラスの体験もコップ1個から可能だ。
 坪井さんとガラス工芸の出会いは14年前にさかのぼる。趣味として、市内のガラス工房で吹きガラスを始めた。「熔解したガラスを吹いてカタチにするまではわずか10分程度。瞬間で生まれるガラス工芸が”いらち“の私にぴったりだったんです」と坪井さんは話す。 
 工房に通っていた頃は「ガラスと遊んできた」のだという。

坪井 柾さん

「素手で触れないから思うようにいかずイライラすることもあるんですけどね。ガラスが言うことを聞いてくれる楽しさ、そして言うことを聞いてくれない楽しさ……」。
ガラスについて話す坪井さんは、なんというか、ピカピカしている。ガラスと遊ぶというフレーズがよく似合っている。
 通っていた工房の先生が引退され、行き場をなくしたガラス窯が坪井さんの手に渡ったのが、第二の人生の出発点となった。ただ、それは坪井さんにとって葛藤の始まりでもあった。「ガラスと遊ぶ」だけとは違って、窯を維持していくための効率を考えなければいけなくなった……。例えば、原料となる廃ビンを溶かすのには窯の温度を約1300度にまで上げなければならない。いったん温度を下げてしまうと余計にコストがかかる。

坪井さんの作品

「私は、ガラスの原料や詳しい窯の構造などについてはまったくの素人です。廃ビンをリサイクルしてまた新たなガラス製品に生まれ変わる、それが楽しくておもしろくて続けてきて今に至ります。私がめざすのは芸術品を作るガラス作家ではなく、この楽しさ、おもしろさを多くの人に知ってもらうことなんです」。
 坪井さんのガラス作品を手にとる。ガラスで遊んでいればいい時代から、少し複雑になったが、ピカピカは相変わらず。
 坪井さんの作品を手にとり、考えてみる。私にとってセカンドライフはもうちょっと先の話で、まずは第一の人生をピカピカと生きなければならないのだが……。

 

ガラス工房 宙

滋賀県彦根市野田山町350 / tel.090-1480-2601
吹きガラス体験1,500円〜(コップ1個)、フュージング体験800円〜、教室の開催等については要問い合わせ

「カロカロ市」

2010年5月16日(日)10:00〜16:00 工房一帯で雑貨などの販売や青空散髪など約16店舗が出店する手づくり市を開催。工房では吹きガラスが1,000円、フュージングが500円で体験できる。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

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