滋賀を愛するアメリカ生まれのシンガーソングライター
ミュージシャン 友剛
滋賀をこよなく愛するアメリカ生まれアメリカ育ちの青年に会った。友剛(ともたけ)の名で活動を続けているミュージシャンである。本名は、デイモン・シェラー(Damon Shearer)。デイモンという名はギリシア語で「忠実な友達」という意味を持つ。「友剛」の名もデイモンのそれにちなんでいる。名付け親はデイモンさんが「日本のお父さん、お母さん」と慕う田中三郎さん富士代さん夫妻だ(長浜在住)。
8年前に初めて来日。2009年、自らが作詞したCD「友剛 / True to me」を発表した。True to meは、自分らしくと訳せばいいのだろうか……。CDを開けると、「これは皆のために一生懸命作ったアルバムです。心込めてありがとう!」の一文があり、「be TRUE to yourself and you will find LOVE」と添えてあった。
「日本語で作詞し日本語で歌うのは私の気持ちを100%聴いている人に伝えたいから。もし英語で歌ったらその言葉の意味は日本人にはイメージしか伝わらないと思うんです」。
と友剛さんはいう。流暢な日本語だった……。作詞する時も、英語を翻訳するのではなく、日本語で考え日本語で書く。
Funky Music(Today is my day)にはこんなサビがある。
やらないとわからない
頑張らないと出来ない
諦めたいと思ったら
Don’t stop no no no
際限がないけど
信じないと飛べない
理解なら 歌ってみな
Today is my day
ソウル系のスロウな曲に乗って友剛さんの声が届く。
Don’t stop no no no / Today is my day を、そのまま英語で理解するように、友剛さんは日本語で考え作詞する。そして日本語で歌っているのだ。
友剛さんはもともと日本の文化に興味があり、高校の英語講師として長浜にやってきた。ある程度日本語を学んではきたものの、周りの会話はまったくわからなかった。
「アメリカから送ってもらったドリンクに混ぜる砂糖をスーパーで買って来て……、そして飲んだら噴き出しました。字がわからず塩と間違えたんです。日本に来て初めて大泣きしましたね。でもそのとき、日本に勝つか負けるかどっちって考えました。もっと日本語を学ぶか、アメリカに帰るかだと」。
以来、独学で日本語を猛勉強したという。ところが家庭の事情で帰国。改めて日本の良さを痛感し、「日本と芸術、両方ないと私は幸せになれない」と日本で音楽をして暮らすことに決めた。場所は……、横浜だった。
標準語になじめず愚痴をこぼす友剛さんに「関西弁も標準語も話せたら完璧に日本人や」と叱咤激励したのは富士代さんだった。
田中さん夫妻を交えて話し込んだ時間はあっという間だった。歌詞と同じようにまっすぐで潔い友剛さんの言葉はとても気持ちよかった。「言葉が人を表す」……、なら自分自身を省みなくてはならない。私たちが知っている日本は、どんな日本だろう。友剛さんのこよなく愛する滋賀県はどんなカタチをしているのだろう。関西弁も標準語も完璧に日本人の日本をもっと知りたいと思った……。友剛さんの日本の故郷は田中さん夫妻の暮らす長浜にある。
友剛
アメリカデトロイト州出身。彦根出身のミュージシャンJun.17(高塚淳一さん)と今年大津で音楽レーベル「south lake records」を設立。
CD「友剛 / True to Me」(6曲収録・1,000円)は長浜市の飲食店「sai」(長浜市元浜町7-12 TEL: 0749-50-7348)で購入できる。
iTunes Storeからのダウンロードも可。
店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。
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