体と心を整える —健康体操—

野本由香さん

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2009年11月26日更新

健康体操の教室の様子

 体をエビのように反らす。腕を勢いをつけてぐるっと回す。お相撲さんのしこのように股関節を広げる……。「健康体操」といわれる運動の一部だ。ラジオ体操ともストレッチともヨガとも違う。どの動きもダイナミックに感じられる。
 「ぬか漬けのぬかをかきまぜるように、体に新鮮な空気を送りこんで血をきれいにしてあげてください」と教えてくださったのが、健康体操の教室を開く野本由香さんだ。野本さんを手本に体を動かしていくと、体の筋という筋、関節という関節が伸びていくのがわかる。

野本由香さん

 健康体操は、正式には「自彊術(じきょうじゅつ)」といって、大正時代に創案された日本で初めての体操法だ。呼吸法や気功、指圧の要素を取り入れた全身運動を行うことで、固くなった関節や筋肉をほぐし、血液循環を活発にしていこうというものである。ダイナミックに感じた動きは続けることで次第に筋肉が慣れてきて、すぐに容易にできるのだという。
 野本さんと健康体操の出会いは約10年前のことだ。友人に誘われてたまたま教室に出かけ、さらに指導者としての道を歩むことになった。「自彊術は東洋医学的な考えに基づいて構成されていて、体だけでなく心も整える運動だというところに魅力を感じました。現代はさまざまな健康法がありますが、それを実践したからといって病気にならないということはないですよね。ただ、病気を寄せつけない前向きな気持ち、また例え病気になってもそれを受け入れられる心をも養っていくことができる体操なんです」。

教室は彦根市内3ヶ所と多賀町で開催

 体操を続けていくことで、体の方はギックリ腰がなくなり、心の方は「まだまだ修業中ですが」と付け加えながらも、穏やかな心もちを努めようとすることができるようになったという。
 体操のなかに、「手もみ」、「足もみ」、「腹もみ」、「顔こすり」という体のツボを刺激する動作があるのが自彊術の大きな特徴ともいえる。顔の血行が悪い私は「顔こすり」をマスターするべく、特別にお願いして詳細にレクチャーしていただいた。目から鼻にかけては本当にこするように、小鼻から頬骨にかけてはぐっとツボを押し、首や鎖骨のあたりはリンパの流れに沿って手を動かしていく。「ぬかをかきまぜるように新鮮な空気を送り込む」というのがとてもなじむ感じがして、顔がすっきりした気持ちになっていく。
 「人生を長く楽しく過ごしたい。そのための体の手入れなんです」。そんな風に野本さんは健康体操を説明してくださった。肩こり、胃腸の不調など常々すっきりしないと感じている私の体は、メンテナンス不足を叫んでいるのだろう。叫びを聞いてあげられるのは自分自身なのである。その後も、自分の心とも向き合うべく鏡を見ながら顔をこするようにしている。もちろん顔こすりだけでは完璧なメンテナンスとはいえないけれど、まずその一歩になればと励んでいる。

野本由香さん

彦根市芹川町在住。健康体操の教室は彦根市内3ヶ所と多賀町で開催。
問い合わせは TEL: 0749-24-7611(野本さん)まで。体験、見学も可。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

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