元気の素、日常の道標

カウンセリングルーム CBTセンター 西川公平さん

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2009年4月12日更新

CBTセンターは、ヴォーリズ洋館の一角にある

 春。新しい一歩を踏み出す季節。自分を何処かリニューアルしたいと思うのだけど、気ばかりが焦って空回りしている気がする。もっと上手く出来ればなぁと落ち込むこともある。そんなとき、彦根城の内堀沿いにある洋館を訪ねてみるといいかもしれない。
 この洋館は、全国的に有名な建築家として知られているウィリアム・M・ヴォーリズ氏が、大正時代に設計したものだ。現在はひこね市民活動センターとして利用されている。その2階の一角にカウンセリングルーム「CBTセンター」がある。
CBTとはCognitive Behavioral Therapy(認知行動療法)の略で、悩みや不安など「こころの苦痛・ダメージ」をカウンセリングで軽減していくやり方である。認知行動療法の詳細は「CBTセンター」のホームページに書かれているので、ここでは説明を省く。

CBTセンターの西川公平さん

 カウンセラーは「CBTセンター」所長で認定行動療法士の西川公平さん(33)。全国で講演や研修会を繰り返し、県内で初めて認知行動療法を用いたカウンセリングに取り組んでいる。
 「どんな人でも、こころの健康な部分とそうでない部分のバランスを取りながら暮らしています。ですから、落ち込んでもまた元気になれるという状態が、本当の健康なんですよ」。
 西川さんに教えていただいた。しかし、バランスの崩れが長らく続くと、周囲の人も巻き込んだ悪循環が形成され、なかなか回復しづらい場合もある。そんなとき、その人の健康な部分にスポットを当てていくのがCBTなのだそうだ。ここを訪れる人は様々で、精神科や心療内科から紹介されてくる人もいれば、インターネットを見てくる人もいる。
 カウンセリングは、難しいことは一切ない。予定時間まで西川さんと対話するだけである。西川さんによると「ただのおしゃべりの時間が一番大切」なのだそうだ。
 初めてカウンセリングを受けたときは、さすがに緊張したが、それは西川さんとの会話の中で、すぐにほぐれていった。日々の悩み事を漠然と話し、それは何でだろうと西川さんも一緒に考えてくださった。自分のことは自分が一番、理解しているつもりだったけど、思わぬところに悩みのきっかけを抱えているのだと自覚することが出来た。わからなかったことの原因が判明したことで、胸のつかえがとれたような、なんだか身軽になったような気がする。原因がわかれば対処法だって見えてくる。50分のカウンセリングを経て、日常を見る僕の目線は少し変わった。そこに至る道順を、西川さんに案内してもらった感じだ。

 西川さんと話ながら、思ったことがある。CBTはヴォーリズ建築と同じなのだ。この洋館は、数年前まで顧みる人がおらず、放置されていたけど、良さを引き出した人たちによって今の温かさを取り戻した。CBTもまた、その人の心の健やかな部分を引き出し、軽くしてくれる手法である。
 「ここを訪ねようと思ってくださるだけで、健康な方向へ向かう新しい一歩がはじまっています。複雑に絡み合った状況でも、カウンセラーと二人で協力して丁寧に扱っていけば、やがてはほどけていきますよ」。
 僕にとって堀端の洋館は、元気な日常を取り戻す道標のような場所なのだ。

CBTセンター

滋賀県彦根市中央町3番12号 CGビル4F
(2014年4月にヴォーリズ洋館2Fから移転)
TEL: 0749-24-5689
営業日: 金・土・日曜の9:00〜12:00、13:00〜20:00

  • メールまたは電話による事前予約必要です。
  • 1回のカウンセリングは50分 / 5,250円(別途初回費用が必要)。
  • 対人関係やストレスなど、心が苦痛を感じていることを、丁寧に解きほぐしてくれる。

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

めめ

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