新しいホッケーのカタチを滋賀から発信
聖泉大学女子ホッケーチーム
滋賀でホッケーといえば伊吹のイメージが強いが、今年、聖泉大学女子ホッケーチームが創部わずか6年目にして全日本学生ホッケー選手権大会でベスト4に食い込み、新たな盛り上がりをみせている。長年、大学女子ホッケーの4強は天理大、東海学院大、山梨学院大、立命館大で不動のものとなっている中、東海学院大を破っての4強入りはチームにとって大きな前進となった。
このチームを率いるのは伊吹出身で元アテネオリンピック代表選手でもある宮崎奈美さん。初めての監督業として創部半年後からこのチームに関わり、これまで一般的だった「強くなるためには、ひたすら厳しく」という練習法ではなく、他に対する感謝や尊敬、思いやりの 心 を育てる独自の方法でここまでチームを育ててきた。練習風景をのぞいてみると、激しい練習の中でも飛び交うのは「ありがとう」という声。真剣さや厳しさはあるが粗雑さのない雰囲気が印象的だった。
他のチームにはないこの雰囲気づくりは、共にチームを支えるコーチの考え方や、宮崎さん自身の経験が影響しているようだ。伊吹出身の宮崎さんは小学4年生からホッケーを始め、その後中高と地元でホッケーをし、全国4強の大学、社会人チームへと進んだ。その間、全日本チームにも参加するなど、傍から見ればエリート街道まっしぐらだったのだが、本人としてはホッケーさえ出来ればいいという環境の中で、ホッケー以外を何も知らないという不安も感じていたそうだ。
今、宮崎さんは選手たちの技術面だけでなく、精神面の育成に心を注いでいる。選手を大人として扱い、チームのために人としてどうすべきかを自ら考えられる人間性を4年間かけて育てている。一方で、どうしても結果を求められるスポーツの世界。6年間、聖泉らしいスタイルを地道に積み重ねてきた上でのベスト4という結果は、チームとって大きな自信となった。
宮崎さんの夢は、いつか国内最高峰のチームが集う日本リーグに聖泉大出身メンバーを中心とした地域密着型のチームで出場することだそうだ。
しかし現実はまだまだ厳しい。ベスト4になったことで出場権を獲得した全日本女子ホッケー選手権大会では、初めて公式戦で社会人4強のチームとの対戦も経験したが、3試合を通して得点を上げることが叶わなかった。その試合をもって4年生は引退し、現在新チームが動き始めている。来シーズンは、今年強豪チームと対戦した経験を活かし、4強入りは運が良かったのでは無かったと証明できるような戦いをしていかなければならない。
聖泉大らしさを失わず、着実に夢へと近づいてくれることを願っている。
【編集部】