受け継ぐということ——太鼓踊り

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 余呉町 2012年8月29日更新

 余呉町下余呉の太鼓踊り(滋賀県選択無形民俗文化財)が8月19日、乎彌神社で奉納された。僕は『緑に包まれた境内で揺れる「シャグマ」を見たい』と文章を書いた。それは実現した。
 幼稚園年長組から高校生までの同町の子どもたちが、夏休みに入ってから毎日、大太鼓、小太鼓、鉦、囃子、タンバリンの練習を積み重ね、彼ら、彼女らのの夏はこの日のためにあったと言っても過言ではない。
 踊りの花形は小太鼓で、小学4~6年生の男子最低5名が必要。昨年と今年2年続けての奉納となったが、少子化の影響で来年以降は奉納できない年が続くという。
 太鼓踊り統括責任者の萬代正和さん(46)は「本当に子どもたちはよくやってくれました。来年以降、奉納はできないかもしれないけれど、指導者さえいれば踊りを受け継ぐことができます」と語る。そのために今年は、『立ち拍子』という踊りを研究し復活させた。
 「指導者さえいれば踊りを受け継ぐことができる」。その言葉はあまりに力強く、伝統の無い街に育った者には到底理解することのできない、奥深さがあった。萬代さんは「最後には泣けてきました」と……。僕らは、その涙の意味を理解することはできそうだが、本当は何も判っていないのだと振り返る人は少ない。   

編集部

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