大河ドラマと北近江
写真で伝える小谷城

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2012年6月6日更新

 昨年の大河ドラマの主人公・江の出生地と伝わるのが、小谷城である。江の曽祖父・浅井亮政が大永年間(1521~1528)に築城し、父・長政の代の天正元年(1573)に羽柴秀吉ら織田信長軍に攻められ、小谷は落城、長政は自刃した。
 開催中の長浜戦国大河ふるさと博では「小谷城址ガイド語り部の会」の79人が、交代制で城跡を歩きながら歴史や遺構について解説している。 山の中腹にある「番所跡」から城の主要部をたどり、中心部の「本丸跡」をめざす往復1時間半のルートだ。
 「小谷城は日本五大山城のひとつであり、山全体がまさに城と言えます」。語り部のひとり三宅豊さん(65)のガイドを聞きながら小谷山を登った。

三宅豊さん

 城郭マニアと呼ばれる人もいるが私はまったくの素人である。ひとりで登っていたら気づかないことばかりだ。気づく前に全く城郭に関して知識がない……。起伏だと思っていたら人工的に積み上げた土塁だったり、分かれ道かと思いきや敵を誘 いこむトラップだったりする。道の脇に大きな石が転がっているのは、後に長浜城主となった秀吉が小谷城を破城した名残りだという。大袈裟だが、城郭データが既知となった瞬間、あー、そういうことだったのかと、辺りが一変する。
 三宅さんのガイドではお手製フォトアルバムが登場する。ご自身が撮影された小谷城跡の様々なスポットの写真が引き伸ばしてある。例えば、江が生まれたと推測されている「大広間跡」。実際に見ている風景と同じ構図で、桜満開の春や雪に覆われた冬の写真を見せてくれる。「山城として、そして四季折々の表情も豊かな小谷城跡の魅力も共に伝えることで、再訪していただければ……」。

 趣味で写真を撮り始めて5年ほどになる三宅さん流のガイドだった。三宅さんにおすすめ撮影スポットを尋ねると大広間跡の西側にある「桜馬場跡」だという。広大な空き地のようになっていて木々が立ち並ぶばかりだが、竹生島や賤ヶ岳、虎御前山などまさに北近江の風景が眼下に広がり、ドラマのロケ地にもなった。「大広間跡の桜もおすすめです。老木で咲かない年もあるので満開になると絵になりますが、緑あふれるこの季節もまたいいと思いませんか」。
 悔しいことがあった。本丸跡北側の「大堀切跡」でのことだ。尾根をえぐり抜いた大規模な空堀で、深さと広さに圧倒された。この迫力を伝えたいと撮影してみたのだがなかなか思うようにいかない。下山時間が決まっているので気持ちも焦る。「ここを撮るなら広角レンズですね」とアドバイスいただいた。次の登山目標が即座に決定した瞬間である。

小谷城跡での語り部ガイド / バス・ガイド料金 500円

問い合わせ /戦国ガイドステーション
長浜市湖北町伊部757-1・tel.0749-78-0300
8:30〜17:30・博覧会会期中無休

小谷城跡ふもとの「戦国ガイドステーション」からガイドと共に出発。小谷城バスに乗車し、番所跡で下車後コースを歩く。帰路も番所跡からバスに乗車。オプションコースもある。(要問合せ)

2012年12月2日までの博覧会会期中実施。ただし6月1日〜7月20日までは毎土日のみ実施(団体の場合は要予約で平日受付可)
バス運行時間 / 第1便9:30・第2便11:00・第3便12:30・第4便14:00・第5便15:30

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

いと

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