ビー玉一個、猫の足跡

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2012年2月10日更新

旧川原町郵便局舎

 彦根・花しょうぶ通り商店街の一画に昭和レトロな雰囲気を漂わせるかつて郵便局だった建物がある。大正期に建造された旧川原町郵便局舎は、昭和9年に正面部分が洋風に改造された。内部は1階前面の営業室だけが洋風で、他の部屋は和風となっている。伝統的な町家の中に洋風意匠が拡がっていく過程を示すものとして貴重だという。現在新たに改装中で、2月5日にプレオープンの予定。情報をテーマにした館として、1階にはカフェやインターネットラジオの放送局ができる予定だという。
 床が剥がされた時、一個のビー玉が見つかった。薄く透き通る水色で中に幾つか気泡があり、表面に傷が付いている。どんな遊び方をすればこんな傷がのこるのか、想像できないが、大抵ビー玉は縁の下に忘れられることになっていた……。
 先日訪れた時には土間にコンクリートが塗られていて、猫の足跡が付いていた。改装後の建物に一番に刻まれた文字通りの足跡である。

明治時代と推測されるカロム盤

 ところで、一つだけ気になっていることがある。実は、旧川原町郵便局舎には、明治時代と推測されるカロム盤があった。現存する最古の彦根のカロム盤である。61センチ角の正方形で、ポケットは16センチ×8.5センチ(底辺×高さ)の三角形。現在のものと比べると少し小さい。盤面の木が痩せて木目が浮き上がり、平らにするためにロウ紙を貼って使われ、その後、更にベニヤ板を張り遊びつがれたという代物である。この盤の行方が判らなくなっている。多分、何処かにあるのだろうが。

 ただ今は、一個のビー玉と猫の足跡の……。それだけでもう僕は素敵だなぁと思うのだ。

 

小太郎

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