初詣は、高宮宿・一の鳥居で

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2012年1月11日更新

写真1 2006年8月1日撮影

写真2 2012年1月4日撮影

写真3 賽銭箱

 中山道高宮宿に大鳥居がある。交差点の名前も「高宮鳥居前」で、とても判りやすい。ただ、いつもここを車で通る時には、ここからは多賀大社の神域、いいのかなぁと少し気になったりするのだ。鳥居の起源は明らかではないが、俗なる人の領域と神聖なる領域の境に建てられたことは確かで、かつてこの鳥居から多賀方面は神域だった……。
 中山道高宮宿は、中山道六十九次(東海道の草津、大津を含む)のうち江戸から六十四番目。天保14年(1843)の記録によれば、町の南北の長さ七町十六間(約800m)、総戸数835軒、人口3560人、中山道第二の宿場だったとある。また多賀大社への門前町としても賑わい、中山道と多賀道の分岐点に多賀大社一の鳥居が建っているわけである。現在、この鳥居は県の文化財に指定され、柱と柱の間約8メートル、高さ約11メートル、柱の直径は約1・2メートルあり、県下の石の鳥居としては最大である。寛永12年(1635)の建立で、ここから多賀大社まで約3キロメートルである。
 写真1は、2006年8月1日、写真2は2012年1月4日にそれぞれ撮影したものだ(写真3は賽銭箱)。天候やアングルの違いは別として、明らかに賽銭箱が新しくなっている。僕が気づいたのは昨年だった。鳥居横の賽銭箱が新しくなって始めて気づいた。高宮の友人に尋ねると、新しくなったのは昨年で、今でもお年寄りが賽銭を入れて祈る姿を見かけるという。そして、何時頃からそこにあったのか判らないが、ずっとこの場所にあったらしいという……。多分、ここに鳥居が建った1635年からだろうという推測も決して間違いではないだろう。
 多賀大社は、天照大神をはじめとする八百万の神々をお産みになった、親神様、イザナギ・イザナミを祀る神社であることは広く知られ、古くから「お多賀さん」の名で延命長寿、縁結び、厄除けの霊神として、信仰を集めている。鎌倉から江戸時代にかけては、武家の信仰も篤く、近年の戦国ブームで浅井長政、豊臣秀吉との関係はマスコミにも数多く取り上げられ、多くの人の知るところとなった。
 道中を急ぐ旅人がいる……。「お伊勢参らば お多賀へ参れ お伊勢お多賀の子でござるお伊勢七度 熊野へ三度 お多賀さまへは月参り」と、一の鳥居で賽銭を入れ、延命長寿、縁結びを祈る姿があったに違いない。
 そこで、ふと考えた。実は、僕は今、この時点(1月4日)で多賀大社への初詣に行っていない。多賀大社へは約3キロメートルである……。このまま走れば5分とかからない。しかし、初詣の渋滞は避けられないだろう。しかも、駐車料金もかかる。境内は賑わっているが、ここは僕独り、賽銭箱も新しい。ここから祈れば目立つに違いない……。現代も道中を急ぐ旅人は存在するのである。

 

小太郎

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