経験値とリセット

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 甲良町 2011年5月25日更新

平成の尼子館で開催された「えびね展」

 5月3日。「平成の尼子館」で、尼子地区の住民9人でつくる「尼子えびね愛好会」の、年に一度の披露の場である「えびね展」が開催されていた。今年で16回目となる。
 ふわっと華やかな香りが漂い、約300鉢に、朱や黄、オレンジ、紫色…小ぶりの花が枝に鈴なりに咲いていた。
 えびねは、もともと日本各地の山野に自生する、ランの一種だ。節状の根が海老の背に似ていることからこの名がついた。愛好家も多く、尼子のえびね展は噂を聞きつけ、県内外から多くの人々が集うゴールデンウイークの恒例行事となっている。

「尼子えびね愛好会」のみなさん

 「同じ色の花でも、薄いのと濃いのなら濃い方がいいんです。あとは葉。葉は花の衣装みたいなもので、大きくてきれいなものがいい。花も葉も肥料や水のやり方で大きく変わってきます」。鑑賞の仕方を代表の北川喜久蔵さん(73)と前代表の上野幸三さん(75)に教えていただいた。去年の猛暑とこの春の寒さが影響し、今年の出来はいつも以上に良くないと、ふたりは残念がっていた。
 上野さんは、えびねの栽培60年になるベテランで、中学校の頃から植物栽培に熱心だった。北川さんは上野さんに40年ほど前にえびねの魅力と、栽培の仕方を教えてもらった。
 上野さんは「300鉢ほどを育てていますが、いいと思うのは毎年20鉢もあるかないか。えびねに限ったことではありませんが、1年1年が勉強です」と言われる。
 植物や作物を育てることは、経験値を踏まえたリセットの連続なのだろう。えびねの花を初めて鑑賞する私にとっては、今日のえびねがベースとなって、新たに見るえびねが上書きされていく。それが、勉強なのだろう……。

 

尼子えびね愛好会

お問い合わせは代表の北川喜久蔵さんまで。
TEL: 0749-38-2615

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

編集部

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