西主計の鶴

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 長浜市 2010年11月2日更新

西主計にある鶴の置物

 ときおり通る道路の脇に、鶴がいる。正確には空を見上げている鶴の置物である。「宇野→」と記されている。
 鶴を設置したのは、西主計にお住まいの宇野和夫さん。宇野さんのお宅に向かうには東側と西側から入る道がある。東側から入ってもらいたいが、口頭の説明ではなかなかわかりにくい。そこで目印を置くことにしたという。
 「何を目印にしようかいろいろ考えたんですが、亡くなった父が庭の手入れに熱心で、鶴を置いていたんです。その置物を役立てることにしました。近くの人たちから『西主計の鶴』って言われることもあります」と笑って教えてくださった。
 ところで、滋賀県に鶴は飛来するのかどうか。かつて飛来したことがあるのか否……。湖北野鳥センターに問い合わせてみた。「本州にはかつて、渡りや迷い鶴も含めて鶴がいたと言われていますが、滋賀県にいたという明確な記録は残っていません。現在も、迷い鶴はいますしね」という。
 「閑雲野鶴」という四文字熟語がある。俗世に煩わされず、悠々自適の生活を送ることをいう。折り紙の鶴は、誰でも一度は折ったことがある。昔話の「鶴の恩返し」はポピュラーだ。鶴は千年亀は万年、長寿のシンボルでもある。日本人はみなその姿カタチを思い描くことができる。人々は迷い鶴を心待ちにしていたのではないだろうか。
 西主計の鶴は迷わないための鶴なんだけど……。

 

編集部

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