このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 2010年10月12日更新

 静かな記念号である。特に変わったことはない。いつものように過ぎていくはずだった。毎日が記念日である。少し立ち止まれば、そこに大切な記念すべき時があるはずだ。誰かにメールをした日、玄関で金木犀の匂いがした日、駐車場の猫と視線を交わした日。全てが記念すべき日で僕らは少し忙しくて立ち止まることができないでいる。ビールを飲む口実なんていくらでもある。
 深夜、独りでカタカタとキーボードを叩いている。深夜と言ってもあと1時間もすれば外は明るくなり始めるので、近所の芝生に突然姿を現したホコリダケの様子を見に行こうかと考えている。そうしてまた記念日が増えていく……。
 エディターズフリーキックを書き終えたら、DADAジャーナル500号が出来上がる。
 静かな記念号である。大切な記念号でもある。しかし、499号でも501号でも同じなのだと思う。ただ、少し僕らは立ち止まり、ふっと息をする。
 発行を応援してくださった皆様、支えてくださった皆様、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。
 文字の多い誌面を読んでくださっている読者の皆様に感謝いたします。ありがとうございます。何を書いてるんだというところもあるかと思いますが、これからもよろしくお願いいたします。
 
 「初恋レコード」のせいか少し気持ちがおかしい。「恋」という漢字は古くは「戀」と書いた。
 言葉を糸でサンドイッチにして、心がある。素晴らしい字だ。
 大切な記念日、これからも続くように、「戀」なのだなと、気づいた朝となった。

編集人 杉原正樹

編集部

スポンサーリンク
関連キーワード