与九郎さんの滝に行く
東草野は、奥伊吹のなかでも最も奥に位置し、姉川が集落と山々の間を縫うように流れている。平家の落人が住み着いたとか、豊臣秀吉の妻のねねがここを抜けて美濃に逃げたとか、関ヶ原の合戦で追われ身になった石田三成がたどったといった興味深い伝承も少なくない。
東草野の集落のひとつ甲賀には、与九郎滝がある。
「甲賀の観行寺には、江戸時代彦根藩や小室藩からお殿様が訪れることがあった。ご馳走をふるまうため、村の与九郎さんという魚捕りの名人がイワナなどをつかまえ、もてなした。滝の名は与九郎さんがよく魚を捕った場所だったことにちなんでいる」。
観行寺のご住職、法雲俊邑(のりくもしゅんゆう)さんがこんな言い伝えを教えてくださった。
滝へ至る道が整っていなかったこともあり、甲賀でも与九郎滝のことを知る人は少ないそうだ。
ただ、魚捕りの穴場で、子どもの頃に夢中になった人にとっては身近な場所だったという。
この夏、法雲さんを座長とした東草野まちづくり懇話会の皆さんによって与九郎滝への歩道が整備された。新甲賀橋のちょうど手前、左手の採石場跡に入る坂道を上がって、少し山道を歩けば滝が見えてくる。決して大きくはなく、こじんまりとしているからこそ感じ入る滝だった。
山道の途中から見ると、流れは何段かを経て滝つぼに落ちる様子がわかる。滝を覆うような木々のなかに、まだ緑色の紅葉の葉があった。滝が赤く染まる風景を見たいと思った。
東草野で滝といえば曲谷の五色の滝がよく知られている。さらに与九郎滝のように知る人ぞ知る滝がいくつかあるのだという。
今、懇話会でそれらの滝の整備計画が進められている。近いうちに東草野の滝巡りが楽しめるようになりそうだ。
数年前の話だが、DADAジャーナルのシリーズに「滝を巡る旅」というのがあった。滝といってもそれぞれ個性があり、滝までの道のりが楽しい。与九郎滝がきっかけで、再び、滝巡りが始まる気配である。
そば打ち体験イベント
開催日時 2009年10月25日(日)9:00〜
開催場所 甲賀の集会所
そばのゆで時間を利用して与九郎滝を見学予定。
お問い合わせ
米原市伊吹自治振興課 TEL: 0749-58-2221
店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。
【椰子】