伝説には根拠がある

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 多賀町 2021年5月26日更新

青龍山頂上から。正面が荒神山。写真右は木々に阻まれ、金亀山(彦根山)が見えない。

 5月4日、草花や木々の芽吹きを観察する野草ツアーに参加し、標高333メートルの新緑の青龍山に登った。東京タワーと同じ高さだという。野草ツアーの主催は官民がタッグを組み地域の魅力を発信する「YOBISHI(よびし)プロジェクト」。多賀植物観察の会・中川信子さんを案内人に、麓の胡宮神社から頂上を目指した。紙の原料となるガンピ(別名カミノキ)、団子や餅を包むサルトリイバラ(別名サンキライ)、マムシ草は初めて名前と実物が一致したりで、体力不足を嘆く以外は、わくわく新発見の連続であった。
 そして僕には植物の観察とは別に山頂から「金亀山(彦根山)と荒神山、琵琶湖を実際に望む」というもうひとつの目的があった。
 理由は青龍山の「青龍」にある。僕らは「スクエア・レジェンド」と名付けて湖東・湖北の伝説の四角形を探していた時代があった。方角を表す四神を探し四角形を完成させるというものだ。

東……四神「青龍」、地勢は「流水」、色は「青」。
西……四神「白虎」、地勢は「大道」、色は「白」。
南……四神「朱雀」、地勢は「湖沼」色は「赤」。
北……四神「玄武」、地勢は「丘陵」色は「黒」。

青龍山頂上を目指しながら植物観察

 淡海には、色そのもの、あるいはカラーを連想させる地名が少なからずある。例えば、霊仙山の漆ヶ滝や白谷林道、米原市番場の青龍の滝、多賀町栗栖の日の本橋など……。
 彦根城には「黒門」がある。ならば四角形になるよう赤門、白門、青門を探す。そういうことをして遊んでいたのだ(白・青は未発見)。
 話を元にもどす。
 地図上で予想はしていた。青龍山は「青」で「東」である。
荒神山は火の神を祀る山ゆえに「赤」、朱雀で「南」。「金亀山」は「亀」、玄武で「北」である。これでスクエアの3辺となる。地図にラインを引いてもだいたい90度で交わり、東西南北の並びも正しい。
 歴史的な背景も似ている。
 胡宮神社がある地域の地名は敏満寺である。奈良時代に東大寺の荘園「水沼荘」があった。荒神山周辺は奈良時代には東大寺の荘園「霸流(平流:へる)荘」だった。金亀山も観音信仰が盛んな山である。荒神山と金亀山の間には巡礼街道があり犬上川と直角に交わっている……。
 問題は、西の四神「白虎」だった。多景島辺りでスクエアとなるが、白の根拠が見つからなかった。「びわこ」→「びゃっこ」などと冗談を言っていたが、5月4日、青龍山の頂上で弁当を食べていて閃いた。琵琶湖の「沖の白石」ではないのか! 色は「白」、方角は「西」であり、地勢は「大道」。「大道」とは湖上の交通を示しているのではないだろうか……。
 『ハリー・ポッター』のハーマイオニー・グレンジャーは「伝説には根拠がある」と言っていた。
 僕には、見事に四神が見えた。スクエアの真ん中は南彦根駅周辺だろうか、かつて「福満」と呼ばれた地域である。嗚呼……、どうすればいいのだろう。

 

小太郎

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