伊吹山文化資料館へGO!

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 米原市 2021年4月8日更新

 企画展〝「水になった村」写真家・大西暢夫と徳山村のジジババたち〟が開催中だ。『ホハレ峠』の著者の写真展である。会期中の4月11日には大西さんの監督作品「水になった村」の上映会、同18日には講演会も予定されている。
 1970年の国勢調査によると、旧徳山村の人口は1583人。ダムの建設に伴い、水没する集落の村民は昭和59年(1984)に離村を開始。昭和62年(1987)に藤橋村(現・揖斐川町)に廃置分合(編入合併)。これにより旧徳山村は廃村となった。
 大西さんが東京から徳山村まで通い始めたのは平成5年(1993)。廃村のはずが数世帯のお年寄りが暮らしていた。以来、ジジババたちの暮らしに魅せられ、東京から徳山村まで片道500キロ、バイクで高速道は使わず山道を走り抜けて何度も何度も通うようになる。
 「水になった村」は、大西さんのことを「兄ちゃん」と呼び、共にたくさん食べ、いっぱい笑ったジジババたちの記録だ。

 徳山ダムは、日本最大級のダムである。総貯水容量は日本一を誇る(6億6千万立方メートル。浜名湖の約2倍)。ダムによってできた人造湖は、徳山湖(とくやまこ)と命名された。
 「ダムにより上流は、人間の営みが全くないため、ダムが作り出した人口湖『徳山湖』は、澄んだ水をたたえた美しい湖として有名です。また、四季を通じて風光明美な自然を満喫できる新たな観光スポットとして、訪れる人々の心を癒しています」と、揖斐川町のホームページには記されている。

 もう誰も帰ることはできない村が美しい湖に沈んでいる。想像は知識を追い越すことはできない。企画展を経験したかしないかでは、異なる未来が待っているかも……。伊吹山文化資料館から目が離せない。

 

編集部

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