「凶」をひいて「吉」となる巨大お神籤

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2020年2月26日更新

2月4日、凶をひきあてるという強運!?

 宗安寺(彦根市本町)で2月4日に披露された「彦根摩訶不思議御籤(まかふしぎみくじ)」をひいてきた。
 日本で2番目に大きいという6角柱のお神籤筒を使う。高さ112.9センチで、「いいふく」の語呂合わせになっている。2006年1月に開催された「いい福招福まつり」(主催/彦根夢京橋商店街振興組合)で初登場したもので、近年は宗安寺本堂で保管されていた。
 Webで検索してみると、高尾氷川神社(埼玉県北本市高尾)のお神籤筒は長さ215センチ、各分野の日本一記録を認定・掲載する「日本一ネット」で、「日本一大きいおみくじ」として認定されている。他、和歌山県の熊野那智大社・青岸渡寺のお神籤筒は133センチ、高城神社(埼玉県熊谷市宮町)110センチというのが見つかった。2006年当時は熊野那智大社・青岸渡寺に次いで2位だったのが、15年ほどの間に3位となったのだろう……。とにかく、これらの巨大お神籤をひくのはひと仕事であることに間違いない。
 宗安寺のご住職の竹内眞道さん(66)は「活用できないかと思い、商店街振興組合に使用の許可をいただき、オリジナルの『彦根摩訶不思議神籤』を作りました。吉凶だけでなく彦根に伝わる不思議な伝承や伝説、妖怪についても記しました。お神籤は寺務所にて1回100円です」と話す。
 神籤札は45種、吉凶は大吉・中吉・吉・半吉・小吉・末吉・末小吉・凶の8種。妖怪は13札ある。また、「凶」を引くと、「吉」が訪れるようにと「厄除け猿(通称・くくり猿)」をプレゼントしてもらえる。「吉」よりも「凶」をひきたいお神籤で、人気が出そうだ。
 「厄除け猿」は、宗安寺の秘仏・庚申(こうしん)尊に因んでいる。庚申尊とは、青面金剛という仏教の守護神で、江戸時代、庚申の夜に青面金剛神を祀り、徹夜する庚申待が盛んに行われており、庚申さまと呼んだ。
 人間の体内に宿る「三尸(さんし)」という三匹の虫(上尸・中尸・下尸)が、庚申の日の夜、人が眠っている間に身体から抜け出し、天に昇り、天王(帝)にその人の行いの善悪を告げ、天王がその罪科によって寿命を縮めると信じられていた。ならば、「庚申の日の夜に一晩中眠らなければよい」と始まったのが「庚申待」だ。最初は独り静かに夜明けを待つものだったが、大勢の方が効果があると「庚申講」というグループができていく。
 鳥山石燕という江戸時代後期の浮世絵師がいる。石燕は妖怪画を数多く描いた。『画図百鬼夜行』に天井の明かり取り窓を覗く「せうけら(ショウケラ)」の一枚がある。『日本妖怪大事典』(村上健司編著)には、「石燕による解説はないがショウケラは庚申信仰に関係したものといわれる。(中略)石燕の描いたショウケラは、この庚申の日に現れる鬼、ということがいえるようである」と記されている。
 お神籤の「凶」の札は7枚、勿論、ショウケラは「凶」である。ちなみに、今年の庚申の日は、3月18日・5月17日・7月16日・9月14日・11月13日。何故かこの日にショウケラをひきあてたい気持ちになるのである。

小太郎

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