「輪」手の仕事・展示と販売
多賀町佐目
NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放送を前に、多賀町佐目は、明智光秀の出身地だったとする新説で俄に注目を集め、明智光秀公口伝の地「十兵衛屋敷跡」には、桔梗を配した幟が立っている。11月、築130年の古民家で手の仕事の作品展がある。取材に訪ねると、パッチワークで「輪」の文字を形取った暖簾がかかっていた。
西川幸子さん、岡田妙子さん、北川美和子さん、堀川すみ江さん、4人は同級生で今年で62歳になる。今も仲がいい。手先が器用で針仕事も得意である。子育てが一段落した頃から毎週集まり、教え合いながら作品を作ってきた。販売するとか、誰かに見てもらおうという気持ちはなく、チクチクと時間をかけて、お気に入りの一着、ひと品をカタチにしてきたのだ。ひとつの型紙から作品は進化し、丁寧に仕上げられていく。それぞれ得意な分野があり、岡田さんはカバンや袋物、堀川さんはガーゼ生地、北川さんは古布や野良着(ぼっこ)のリメイク、西川さんはオールマイティだ。
「輪」という作品展をすることになったのは、西川さんのご両親が亡くなり、無住となった古民家を思いやる気持ちからだった。「人が住まなくなった家は寂しい。この家を使って何かできないか……」。仲の良い4人が思いついたのが、今まで自分たちのために作ってきた作品の展示だった。
後片付けや掃除、展示のためのレイアウトまで全て自分たちで手がけ、ようやく11月22日から24日に開催の目処がたった。展示だけでなく販売もすることになり、今回、約200点の作品が展示される(一番のお気に入りは非売品)。
北川さんは「この歳になっても何でもできる。歳を重ねるのも楽しみ」、堀川さんは「皆でここにいると心が潤う」、岡田さんは「楽しいことも、自分たちでつくることができるのですね。この日のために着物をほどいて新しい作品を作りました」と話す。まだ初日を迎えていないが西川さんは「文化祭をしているよう。もう一度できればいいな」と未来を想像している。仲の良い同級生と過ごす時間はこの上なく楽しいようだ。
「輪」の意味を聞き忘れたが、多分、「輪廻」の「輪」だろう。家が転生し、そして、4人の同級生が輪になり、ころころと転がって何処までもいこう。そんな意味が込められているに違いない。
残念ながら、男物はない。彼女らは自分たちのためだけに作品を作ってきたのだから……。
「輪」手の仕事・展示と販売
2019年11月22日〜24日10:00〜15:00
滋賀県犬上郡多賀町佐目635
イベント当日は、三差路に、手作りの幟が立ちますので、目印に「輪」までお越しください。
開催期間中は、自家製シフォンケーキとコーヒーも提供(有料)。
お問い合わせ 080-1425-5166(西川)
店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。
【小太郎】