眺遠的?

第3回 彦根城眺遠的大会

このエントリーをはてなブックマークに追加 地域: 彦根市 2019年8月29日更新

2017年彦根城眺遠的大会(彦根市弓道連盟提供)

 2024年の国民スポーツ大会において弓道競技が主会場の彦根市で開催されるため、彦根の魅力を内外に発信する目的で2017年に始まったのが「彦根城眺遠的大会」である。今年は9月1日に開催され、21都府県から293名が参加する大会となる。
 弓道に縁のない者にとっては、「眺・遠・的」と字面を追い、遠いところにある的を眺める……?と、本気で想像する始末である。
 弓道の遠的競技は、通常60メートル先の的(直径100センチ)を和弓で射る。「彦根城眺遠的大会」は、特設会場の彦根城大手前保存用地から天守を〝眺〟めることができるというロケーションと、60メートルを〝超〟える射距離80メートルで行われる〝眺超遠的競技〟なのである。国宝の天守を眺めながら弓を引くことができるのは、彦根だけだろう。
 前日の8月31日には公開練習も行われるという。道場という静謐・神聖な空間に苦手意識はあるが、眺遠的大会は屋外で行われる。観戦する側も「眺遠的」なのである。大会当日は開会式の後、10時過ぎからひこにゃんが弓道に挑戦するらしい。
 ところで、僕は単純である。新しいテーマに目覚めた。今、俄然、「弓と淡海のヒーロー」に興味津々なのである。例えば、彦根でいえば、「福島次郎作」の名が一番に思い浮かぶ。
 関ヶ原の合戦後の佐和山籠城戦でのことだ。佐和山城大手から小早川秀秋・脇坂安治・小川祐忠・朽木元綱らが、水の手から田中吉政、内湖側からも家康家臣らが攻撃を仕掛けた。佐和山城には、三成の父正継、兄正澄をはじめ留守をあずかる人々が詰めてはいたが、多くが老兵・若兵そして子女であったという。このとき老兵福島次郎作が登場する。
 次郎作は弓の名手で、寄せ来る包囲軍に向けて矢を放ち、自分の矢種が尽きると山田嘉十郎の名が印刻された矢を用いた。山田嘉十郎は三成の家老だったが、関ヶ原の不首尾を聞き、この時既に舟で逃げていた。包囲軍側は、矢の印刻により嘉十郎のなせる技と勘違いして大いに称賛したという。次郎作は、防戦の甲斐なく敗色が濃くなると、塩硝蔵に火を放ち、大洞の経堂あたりで自害したと伝わる。福島次郎作の弓とはどんなものだろう……。
 「弓と淡海のヒーロー」を調べていきたいが、まずは、弓道についての経験値を上げなければならない。矢庭に解るものではなく、この先は長く続きそうである。   

第3回 彦根城眺遠的大会

日時: 2019年9月1日(日)
会場: 彦根城大手前保存用地

お問い合わせ
彦根市弓道連盟  TEL: 0749-26-0655

店舗等の情報は取材時のものですので、お訪ねになる前にご確認ください。

雲行

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